メ―メ―の株・投資ブログ

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アラサー兼業投資家。長期厳選小型グロース株投資。2019年12月に株式投資を始めるもコロナショックを経験。日本株オンリー、独学で2倍株を3回、3倍株を1回達成。投資に関する思いつきをアウトプットします!

【投資の勉強】相場サイクルの見分け方

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相場サイクルってなに?どう考えるの?

今回は、このような疑問を持つ方のために、相場サイクルについて説明していきす。

投資を行うにあたり、通常の景気循環がどれくらい時間をかけ、どのような過程を経るか知る必要があります。特に、最近の景気サイクルに注目すべきです。これまでのサイクルが3〜4年だとしても、将来にわたり同じ期間のサイクルが続くということはありません。

そこで、今回は基本的な以下の4つの相場について勉強していきます。

本記事の内容

  • 金融相場
  • 業績相場
  • 逆金融相場
  • 逆業績相場
 

金融相場

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まず日銀が金融緩和を発表するとそれだけで株価が上がり始めます。これを「不景気の株高」といい、業績不振の企業でも株価は上昇します。
この金利低下と金余りは、金融機関にとってフローの期間利益はもちろんのこと、ストックの含み利益の急増に繋がり、二重、三重のプラス材料になります。金融相場=金融関連相場といえます。また、信販会社、リース会社、損害保険会社の株価も連れ高します。財閥関連株も人気を集め建設、土木、道路、橋梁、プレハブメーカー、大手不動産会社、マンション業者関連が循環物色され、公共サービス関連、電力、ガス、電鉄、空運、放送なども買われる。
不況抵抗力がある点で、貸しビル不動産、食品、薬品なども活躍が期待されます。特に医薬品ではもともと利益水準が高く、新薬の開発が株価材料となり、金融相場では想像以上に人気を集め、市場最高値を更新します。
コロナショックは、金融相場ではありますが、この不況抵抗力がある銘柄や情報通信関連などが買われました。アンジェスが高値になったのも有名です。ただし、バイオやゲーム関連は仕手化しやすく、急騰急落しやすいため、取引する際は注意が必要です。あるいは、取引しないようにします。
 

業績相場

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金融相場の後、次第に企業の業績が回復し、好業績の企業の株が買われる。この時期は、業績が向上する企業が増え、相場全体で買われます。業種別の騰落状況をみると、前半と後半では物色対象が変わります。前半では素材産業が、後半では加工産業が買われます。
具体的には、前半では繊維、紙パルプ、化学、ガラス・セメント、鉄鋼、非鉄などの素材産業が、後半では機械、電気、自動車、精密機器などの加工産業が買われます。 
素材産業から加工産業、あるいは大型の低位株から中小型の中位・値嵩株への移り変わりは景気絶好調、物価上昇、インフレ懸念による日銀の予防的な引き締め政策の実施、具体的には最初の公定歩合の引き上げをきっかけに展開される。
業績相場は、この好況が永遠に続くかのごとき錯覚に酔いながら終焉を迎える。それは、外部からのショック材料である場合もあるが、予防措置では治り切れぬインフレを抑えるための引き締め政策が多い。
2019年の12月ごろは、僕は投資を始めた頃で国土強靭化や5G関連などの精密機器いわゆる加工産業が続伸している時でした。そうした中で、コロナショックにより株価は崩れ去り、新たな金融相場が始まりました。コロナショックは経済が停止しましたが、社会機能は生きているため、今後のアフターコロナ、ウィズコロナではどのようなセクターに資金が集まるか注目です。

逆金融相場

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景気がよくなると過熱する景気を抑えるために日銀は少しずつ金利を上げていきます。これを「金融引き締め」といいます。金融引き締めが行われると、投資家の資金が株式市場から預金や債権に流れ、市場全体が下落していくのが一般的です。金利が高くても業績に影響の出にくい借金の少ない企業に注目が集まります。
逆金融相場における市場の外部環境は、金利が急上昇、多少資金繰りに余裕が失われてきたという面を除けば、景気は絶好調です。企業収益も素材産業の一部が在庫調整に入り、減額修正しつつある点と建設、製造業などで人手不足から受注に陰りがでますが、消費やレジャー、自動車や電化製品などの関連企業はまだまだ大幅な増益予想をとります。
弱気相場では、時価総額の小さな企業ほど買い占めや企業買収の対象にもされやすく、材料株として買われやすいのも小型株の特徴です。一方、好況の波に乗り新規公開企業も次々に登場します。これが店頭株式市場を一層活性化させます。このような株の活況は大不況にでもならないかぎり続きます。
 

逆業績相場

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金利に耐えれず、業績が悪化した会社が増えてくる時期です。リストラに取り組む企業が注目されます。
このような相場では、財務体質が優れ、競争力も強く、業界トップクラスにある銘柄を買うチャンスと言える。まさにショック材料で諸株暴落の場面か、このように市場の長期低迷場面しかないわけです。ただし、相場の神様と言われる本間宗久は「海中へ飛び入る心持ちでなければ底値圏では買えない」と言っています。それなりの覚悟が必要です。
また、投資妙味のあるのは、金融関連株と財閥関連株、次に不況抵抗力がありリスクの少ない電力、ガス、電鉄、不動産、そして薬品です。これらは、景気低迷の不況こそ次のポリシーミックスと言われる財政・金融両面からの景気対策が打たれる環境下にあり、この恩恵を受け、次にくる金融相場のリード役として活躍します。
 
最後に
この基本的な流れを覚えとくと次に上がりそうな銘柄の予想にも役立ちます。しかし、コロナショックのような材料がありますと必ずしもこの循環が繰り返されるわけではありません。今、自分はどういう市場で投資を行っているのか理解するのも非常に重要なことです。
 
相場サイクルについては、以下の2冊で説明してあります。

こちらでは相場サイクルに加えて、投資の基本的なことを学べます。
 

相場サイクルについてより詳しく学びたい方はこちらがおすすめです。
 

こちらの記事では、投資初心者やこれから投資を始める方におすすめな本3冊について解説しています。 

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こちらの記事では、ファンダメンタル分析を勉強する際に役立つ本3冊を選びました。

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こちらの記事は、【投資の勉強】シリーズとして四季報の読み方について解説しています。

 

公開:2020年12月18日

更新:2021年1月5日

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【初心者にもわかる企業分析】6656 インスペック、RD3000はどこに??

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RD3000は売れてるの?受注はどうなってるの?

コロナ禍の影響を受け業績が悪化した6656 インスペック。現在公開されている情報から、RD3000のことも含めて分析します。

本記事の内容

 
2019年にRD3000を発表し、未だに受注情報はなく、2030年には電気自動車や燃料電池車に移行を目指すと政府から発表があったが、今後の成長性はどうなのか?しっかりとみていきます。
 

インスペックとはどんな企業?

 インスペックは1991年6月設立、2006年6月上場の秋田の半導体関連企業です。主な事業は次の3つです。
 

主要3分野の製品戦略

ロールtoロール型検査装置(FPC分野、COF分野)

モバイル機器、ウェアブラル機器などで高成長、ロールtoロール高精度パターン検査で差別化、TABテープ時代からのノウハウの蓄積

インライン検査装置

IoT拡大でマイクロデバイスが急増、製品の高度化によりインライン検査のニーズが拡大、ロールtoロールの連続検査技術によりインライン検査が可能

精密基板検査装置

クラウドサーバーの拡大で高性能CPUが増加、AIのディープラーニング用デバイスが急拡大、最先端のファインパターン検査(AOI)に唯一対応

 

成長戦略

5Gのインパクトは生活の基盤として数十億人にイノベーションをもたらす。

中期戦略

FPCおよびCOF向けロールtoロール型検査装置、ロールtoロールインライン検査システム、精密半導体PKG基板検査システム

中長期戦略

ロールtoロール型シームレスレーザー直描露光機、あらゆる検査ニーズに対応する新検査システム

RD3000を世界初って推してたのに中期ではなく、中長期戦略ですか。すぐに利益につなげるのは難しいってことなのか。

 

RD3000について

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自動車のワイヤーハーネスはFPCへ

自動車のCASE(Connected Autonomous Shared Electric)への取り組みは、加速度的に進歩を続けており、自動車メーカー各社は、自動車の内部配線(ワイヤーハーネス)の急速な増加に伴い高品質で軽量なFPCの採用に取り組んでいる。

この中で、ワイヤーハーネスは乗用車でも長さ6m超の配線が必要と言われており、長尺のFPCをシームレスに露光が可能な機械へのニーズが高まっている。

 

テスラ社の検討

ワイヤーハーネスの総延長はモデルSが3000m、モデル3が1500mあるが、FPC化することで100mとなり大幅な軽量化、品質向上、コストダウンが見込めると報告がある。

決算報告書にテスラの名前が出てくるのは関係があるのかな?

 

RD3000

自動車向け長尺FPC用ロールtoロール型シームレスレーザー直描露光機RD3000を2019年12月に発表してます。連続露光可能なロールtoロール型シームレスレーザー直描露光機(R-LDI)の基本機能の開発が完了したことにより、新たな事業として取り組んでいます。2020年2月から受注を開始し、2021年期に出荷を開始する予定とあるが、未だに受注情報はありません。2020年12月にRD3000量産モデルを発表しています。この新型と工場増設から将来的なニーズがあると考えられるのかもしれません。

 

NEDO戦略的エネルギー技術革新プログラム」の採択

インスペックが採択を受けた「自動車向け省エネルギー効果を産むワイヤーハーネス代替部品の軽量化技術」の開発はRD3000を大幅に進化させ、2023年の上市を目指す。EV、HEV、PHEV、FCVなど今後急速に普及すると予想される自動車の軽量化および人による手作業生産から自動生産へのシフトにより省エネルギーに貢献する。

 

市場予測

自動車向けワイヤーハーネス市場において世界市場規模では5兆7千億円、日本規模では7200億円にもなります。ワイヤーハーネス10%がFPC化すると5700億円、必要な露光機は数百台以上にもなるとのことです。

 

テクニカル・ファンダメンタル分析

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ここまでみてきてインスペックはRD3000が世界初の技術商品で2021年期に出荷予定とあるが2Qを過ぎても受注情報はありません。2023年にはさらに新型を出すのが目標みたいです。大丈夫なのか?と不安が積み重なっていきます。ここでは、他にわかることがないかみていきます。

①売上および利益が成長している

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出典:会社四季報 2020年4集

四季報より2020年4月期はコロナの影響もあり、落ち込んではいますが、来期から回復が見込まれています。特に2022年4月期ではEPSが2倍近くまで上昇しています。利益率の高いものを売らなければこの上昇はできないと考えられます。また、2020年4月から配当を出すようになっていますので、継続的な利益が見込まれています。これらのことから、RD3000の受注が示唆されます。そして、2022年4月期の業績から受注が反映されるのであれば、インスペックのRD3000が中長期戦略の1つという考えにも当てはまると思います。

次に、決算資料をみていきます。

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出典:インスペック 2021年4月期 第2四半期決算短信

ご覧の通り、前年同期と比較すると壊滅的な決算です。決算資料からは、海外案件において現地での受け入れ態勢が整っていないことなどによる納入遅延が発生とあり、これは3Qでも起こりうると考えられます。さらに、緊急事態宣言解除後、停滞していた中国企業向けの商談が再開するなど受注活動が持ち直してきているとあるが、海外渡航がしにくい現在まだまだ厳しいと考えられます。

2021年4月期の業績の進捗率を計算していきます。(×100は省略)

  • 売上高:956÷2400=39.8%
  • 営業利益:56÷170=32.9%
  • 経常利益:42÷130=32.3%
  • 当期純利益:34÷100=34%
  • EPS:9.12÷26.51=34.4%

進捗率をみて壊滅的にも関わらず、下方修正が出されませんでした。これは、RD3000の受注の自信があるということなのか、年内に改めて下方修正のIRを出すのかはわからない状況です。四季報の数値や海外情勢を鑑みると下方修正のリスクは大きいと思います。

また、以前紹介した3449 テクノフレックスも工期遅延や納入遅延により進捗率は低くても最初は業績修正しませんでしたが、後に下方修正を行いましたので、同様にインスペックも行う可能性は考えられます。

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時価総額 

インスペック時価総額は90億2000万円(2020年12月10日)で小型に分類されます。

 

③配当を出している

2020年4月期から出しており、配当利回りは0.11%です。

 

④上場年

2006年6月にマザーズに上場。

 

⑤材料株か?

RD3000はインスペック固有で世界初の技術です。CAN-SLIMでは、驚くような新製品を市場に売り出すことが、企業の成功、ひいては株価の上昇に繋がるとしています。過去の例で言えば、マイクロソフト、グーグル、アップルがあげられます。

CAN-SLIMにつきましては、こちらの書籍で詳しく説明してあります。

 

⑥チャートパターン

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出典:Treading View

2020年はじめにRD3000受注思惑で急騰し、その後は受注もなくコロナショックにより暴落しました。そして、アナリストに取り上げられるたびに上昇するが、受注ないため下落しました。思惑だけでは上がるのにはもう限界があります。受注なければこのまま下落でしょう。最悪の展開はM&AされてRD3000があまり売れもせずに、その技術が他の会社に吸い取られてしまうことだと考えられます。

 

⑦注目度

アナリストに何度も取り上げられるだけあり、注目度はそれなりにあります。ただ、取り上げられる度に楽観的な書き込みが増え、最後は受注なく悲観的な書き込みが増えるの繰り返しが続いています。

 

時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄

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インスペックは現在PER約90倍と高い値にあります。しかし、受注思惑で株価6000円、受注ないため下値を探るような展開になっています。受注の有無で適正株価は上にも下にも評価できてしまう微妙な状態にあります。

続いて、貸借対照表をみていきます。

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出典:インスペック 2021年4月期 第2四半期決算短信

貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。

借入金と現金がほぼ同じです。これは、今の事業を回していくのに約10億円が必要ではないのかと推察できます。RD3000が受注なしでこの状態です。RD3000(1台5000~6000万円)を量産するのであれば、もっと多くの現金が必要になるのではないかと想定されるため、現状すぐには受注、生産となるのは難しいかと考えられます。

資産合計は約36億円、時価総額は約90億円かなり割高に評価されてしまっています。今後は、資産が増えてこの差が埋まるのか、時価総額が減ってしまうのか注目ポイントです。

*追記 2020年12月25日 IR発表

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インスペックシンジケートローン契約締結を発表しました。こちらはRD3000受注増加に伴う運転資金に直結するとあります。さらに、下方修正の発表もなく、量産型の発表および1月のネプコンジャパンに出展されるため、いよいよ受注・生産がみえてきたという印象を受けます。コミットメント期間は1年あり2021年がインスペックにとってよい年になればと思います。

 

⑨PSRによる評価

インスペック時価総額は2020年12月20日では9,020百万円、2021年4月期の予想(下方修正なければ)は売上高は2,400百万円であるので、PSRは以下のようになります。

  • PSR:9,020÷2,400=3.75

よって、PSRに関しては2019年の市場平均が1.1だったため、平均よりは割高と言えます。下方修正あればもっと高くなります。

 

⑩社長が大事

会社のホームページでは今年、新しく更新されました。社長も動画説明やメッセージでしっかりとアピールされています。

 

最後に

ここまでいろいろみてきましたが、RD3000は2021年4月期に出荷を目指すと会社は掲げていますが、実際は海外のコロナ情勢も鑑みるとかなり厳しそうで、四季報でみたように2022年4月期に出荷をされるのではないかと示唆されます。

ただし、長尺のFPCの需要に関しては厳しいのではないかと思います。なぜなら、FPCはなくても現在、電気自動車や燃料電池車は販売されています。今すぐ絶対に必要というものではないのかもしれません。

また、ホームページや報告書類では「インスペックは○○という企業です。」という文言がありません。ユーザーや投資家が初めてインスペックのホームページをみてもなんの会社かわかりにくい感じがします。知っている人がみないと少しわかりにくいと思いました。さらに、財務関係のグラフが二次元や三次元が混ざってあり、ここもみにくいので二次元に統一した方がいいかと思いました。報告書では「当社は(R-LDI)の開発…」とあり()は不要で読みにくくなってしまっています。

細かいとこですが修正をして、RD3000の受注獲得をすれば株価もすごいことになるでしょう。

 

合わせて読みたい

株式トレードを自動で記録・分析し日々の投資活動を助けてくれるアプリ、カビュウについて書いています。

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投資初心者、これから投資を始める方におすすめな本3冊について解説しています。

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ファンダメンタル分析を勉強する際に役立つ本3冊を選びました。

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途中紹介しましたCAN-SLIMという成長株発掘法については、こちらの書籍で詳しく解説してあります。価格は他の書籍と比較すると高いですが、内容も充実しています。

 
公開:2020年12月11日

更新:2021年1月5日

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【初心者にもわかる企業分析】7673 ダイコー通産、5G・GIGAスクール構想関連銘柄

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ダイコー通産ってどんな企業?初めて聞いた名前、全然知らないよ。

このような方も多いと思うので、今回の記事では7673 ダイコー通産について今後の成長性も踏まえて分析していきます。

本記事の内容

 
最初は、僕もダイコー通産については全く知らない企業でした。santecを分析している際にたまたま見つけ、調べてみるとなかなか面白い企業だと思い、今回記事としてまとめることにしました。
 

ダイコー通産とはどんな企業?

ダイコー通算は、1975年創業、2019年3月に上場した企業です。主に、CATVならびに情報通信の分野において、国内外の高度な技術情報と高品質・低価格の商品を通信施工業者や電気通信事業にワンストップで提供しています。
事業は、移動体通信防災行政無線ネットワーク(LAN)関連CATV関連電話関連に展開をする専門商社を越える「越境商社」です。
今後の事業の方向性は、IoTやAIといった新たな技術革新を支える伝送路のデータ伝送量増加に対応するために、光伝送路構築やFTTH等の通信インフラ基盤の大容量化など、CATVと情報通信の世界は急速な変化に直面しており、対応する必要があります。
 
今後のCATV・情報通信分野のトレンド
  • 防災行政無線の普及→2022年デジタル方式へ完全移行
  • CATVのFTTH→4K8K放送・通信高速化に必要、整備が完了しているエリアもグレードアップやリプレイス工事が発生
  • 5Gシステム基地局の更新・増設が必須、2023年度末の全国のエリア化、高速無線環境整備事業に伴う光ケーブル網の敷設工事が発生
  • 都市再開発の通信インフラ整備→イベント会場やホテル等の設備需要、公衆無線LAN・監視カメラの整備
 

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今後のトピックスとしては、まず広島営業所の移転新設(2021年春竣工)、東京営業所・東京物流センターの新設(2021年5月期中に建設用地取得を計画)があり、さらなる事業拡大および効率化が測られます。これらのIR発表にも期待できます。
また、特徴的なのがGIGAスクール構想に向けた取り組みも行っています。GIGAスクール構想とは、「児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想」です。令和2年度文部科学省補正予算案ではGIGAスクール構想の加速による学びの保証として2,292億円が組まれ、この構想実現のためには、ICT環境の整備や調達端末やLAN整備ローカル5Gの活用などが必要であり、ダイコー通産のビジネスと密接な関係にあります。

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出典:ダイコー通産 2021年5月期第1四半期 決算補足説明資料

そして、5Gの今後の展望は2023年度末の全国5G基盤展開率は98.0%となっています。この5G実現のためにはバックボーンとなる光ファイバの整備や基地局の増設、無線通信環境の構築が必要であり、ダイコー通算のビジネスと密接な関係にあります。つまり、2023年度末まで業績に影響を与える可能性が考えられます。

 

同業他社との比較

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光ファイバー関連31銘柄の時価総額と上場年月日です。以前のsantecの記事でも紹介しています。こちらの記事もあわせてご覧ください。

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 この31銘柄の平均時価総額は、1兆1683億円です。そして、多くが1900年代に上場している老舗企業です。この中で、ダイコー通産は上場2年弱で時価総額は100億にもみたない企業です。また、この短い期間で東証一部にも昇格しており、成長性が見込める企業といえます。

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5G関連デバイス世界市場規模予測 出典:矢野経済研究所

 5G事業の今後の成長性として、矢野経済研究所は2020年7月31日、5G関連デバイス世界市場の調査結果を発表しました。2020年の同市場規模はメーカー出荷金額ベースで11兆889億円となり、2030年には約6.3倍の69兆5930億円に達すると予測しています(同調査では5G関連デバイスとして回路、基板、主要部品、デバイス、材料、評価システムなどが対象)。

2020年は5Gサービスの本格展開が見込まれていたが、新型コロナウイルス感染症の影響により設備投資が遅れています。一方で、新しい生活様式の推進により従来になかった活用機会が見込まれるなどのプラス要因も発生しました。
 

GIGAスクール構想とは?

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児童生徒のICT(情報通信技術)環境を整備し、デジタル端末1人1台の実現、校内Wi-Fiネットワークの整備を促進するGIGAスクール構想には、2019年度補正予算で2318億円が計上されました。その後、2020年度補正予算2292億円を計上し、家庭でのオンライン学習支援や、GIGAスクールサポーターの配置などが追加されましたが、デジタル端末の在庫不足で、21年3月末までに1人1台を配備することは困難になっています。デジタル教科書の導入も進まず、在宅学習の普及が危ぶまれています。

「経済財政運営と改革の基本方針2020」には、GIGAスクール構想を加速し、効果的な遠隔・オンライン教育の早期実現が、明記されています。GIGAスクール構想が2023年度末から20年度内に前倒しされ、児童生徒1人につき1台の学習用端末を配備するための予算が2292億円計上されています。このため全国で1000万台の端末特需が発生しますが、デジタル教材の普及も目覚ましいものがある。

ただし、計画を前倒しするので、拙速すぎや、財政負担の大きさが問題なります。さらにデジタル教材の整備に加え、セキュリティ関連も問題になると思われます。

 

テクニカル・ファンダメンタル分析

上記のことを踏まえて、ここから以下の記事の方法によりテクニカル・ファンダメンタル分析をみていきます。

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①売上および利益が成長している

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出典:会社四季報 2020年4集

四季報の数値をみますと19年に一時売上が減少していますが、利益は持続的に成長しています。2022年の予想値と2017年の数値を比較すると売上は17500÷13514=約1.29倍、1株益は112.5÷79.3=約1.41倍と順調な成長が見込まれています。また、配当利回りも良く長期で保有すればインカムゲインも狙えます。

次に、2021年5月期 第1四半期決算短信をみていきます。

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出典:ダイコー通産 2021年5月期 第1四半期決算短信

経営成績に関しては、多種多様の商品をワンストップで提供可能な体制と、過去の大型案件受注により得たノウハウをお客様から評価していただき、FTTH案件や防災行政無線案件、GIGAスクール構想案件等を多数受注した結果から、好成績になったと説明があります。中でも、EPSが21.91円と前年同期比と比較し91.5%の成長をしています。ウィリアム・J・オニールが提唱するCAN-SLIMでは、株価が大きく上昇する直前の1~2四半期でのEPSの大幅な上昇があるとしています。ダイコー通産は、まだまだGIGAスクール構想や5Gによる需要から収益の伸びが予想されるため、今回の決算のEPSは株価上昇の1つのシグナルとして捉えることもできます。

CAN-SLIMにつきましては、こちらの書籍で詳しく説明してあります。

 

事業区分別の営業概況もみていきます。

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出典:ダイコー通産 2021年5月期 第1四半期決算短信

事業区分別では東日本ブロックでは需要が増加しているにも関わらず成長が低いです。そのため、先にはなりますが、東京営業所・東京物流センターが新設されれば将来的な成長が見込まれます。

 

時価総額が小さい

時価総額は上記でも記載しましたが約75億円で、市場平均よりもかなり小さい小型企業です。

 

③配当を出している

配当は継続的に出しており予想配当利回り3.04%と高めです。

 

④上場10年以内

設立は1975年6月の上場は2019年3月のまだ若い企業です。

 

⑤材料株か?

5G関連GIGAスクール構想関連とまだまだ需要はあります。

 

⑥チャートパターン

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出典:Treading View

チャートパターンは週足でみていきますと、コロナショック後より下値を切り上げながら上昇しています。2020年10月11月はカップウィズハンドルの取って部分を形成しているように見えます。出来高は上場時が高く、その後は一定です。2019年末からの大きい三角持ち合いを形成しており、レンジを抜けるためには出来高が必要だと思われます。

 

⑦注目度が低い銘柄

 レポートもIPO時のもので、TwitterYahooファイナンス掲示板でも書き込みも少ない注目度の低い銘柄です。

 

時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄

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ダイコー通産は、四季報の数値からも堅調な成長が見込まれています。PERは予想値から10~11倍と割安にあります。PER15倍が標準値なので21年22年5月の適正株価を計算しますと次のようになります。

  • 21年5月:106.9×15=1603.5円
  • 22年5月:112.5×15=1687.5円

この値からも2020年12月7日の株価1345円は割安にあると言えます。

次に、2021年5月期 第1四半期決算短信から貸借対照表をみていきます。

 

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貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。

この表から、負債と純資産が半々になっていること、総資産の1/3は現金として保有していることがわかります。現金が多ければ経営の選択肢は増えていきます。また、資産合計が約120億円に対し、時価総額約75億円と割安な状態にあると言えます。

 

⑨PSRによる評価

ダイコー通産の時価総額は2020年12月8日では7,338百万円、2021年5月期の予想は売上高は16500百万円であるので、PSRは以下のようになります。

  • PSR:7,338÷16500=0.44

よって、PSRに関しては0.5以下になるため、割安といえます。

 

⑩社長が大事

会社のホームページをみるとトップメッセージはしっかりと作りこんであるのがわかります。上場の目的は、知名度の向上で、首都圏や東日本に注力すること。現状手薄なエリアは北関東や信越、南九州。人材を確保し次第増強する。拠点は2~3年に1ヵ所増やすのが理想的で、最終的には2~3県に1ヵ所は整備したい。西日本はそのぐらいの密度になっているが、東日本も同様の水準にしていきたいと述べています。

ブロック分けをすると四国・九州と西日本、東日本の売上高がそれほど変わらないため、市場規模を考えると、東日本に人材を投入すれば投入するほど数字は取れていくと考えられています。そのため、東京営業所・東京物流センターの新設は期待が持てます。

M&Aの方針は、過去に商圏を広げるために買収した2社は同業者でした。どこにも真似できない技術を持つベンチャーに初期段階から投資することも検討しているとのこと。貸借対照表から現金も多くあるため、今後M&Aも行えると考えられます。

成長戦略は、イベント需要の獲得です。直近では東京オリンピックパラリンピックや次世代通信規格5G基地局関連、CATVの全線光回線化などに対応していきます。個人宅内まで光回線になっているのは11%程度、幹線部分は半分程度。5Gについては、2020年に商用サービスを開始され、全国に波及するまでに時間がかかり、細く長く需要が出ると見られています。

配当政策は、非上場の状態から配当しており、配当性向30%を最低限維持するとのことです。株価に関しては利益を上げ、メーカー的な側面を増やし、PERを高めるなど独自性を出していきたいとのこと。PERはまだまだ低いのでIRなど株価対策に期待ができます。

これまで、東証二部に上場してから、株式分割立会外分売東証一部昇格などスピーディーに行ってきましたので、今後の成長に期待ができます。

 

最後に

ダイコー通産は、配当利回りが高いだけで、それ以外は10倍株、2倍株になる要件を満たしていて、割安な状態にあると言えます。社長も上場記者会見の際に述べたことを少しずつ実行されているのがわかります。今後は、ダイコー通産の活動が注目され、出来高の増加に伴い、株価が上昇したら面白くなってくると思います。

 

合わせて読みたい

同じ5G関連で光技術を提供する企業としてsantecがあります。

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投資初心者、これから投資を始める方におすすめな本3冊について解説しています。

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ファンダメンタル分析を勉強する際に役立つ本3冊を選びました。

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途中紹介しましたCAN-SLIMという成長株発掘法については、こちらの書籍で詳しく解説してあります。価格は他の書籍と比較すると高いですが、内容も充実しています。

 

公開:2020年12月8日

更新:2021年1月5日

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投資を始めるのにおすすめな本3選【基本からマインドまで学ぶために】

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初心者の方で、証券口座を作ったもしくはこれから投資を始めたいが、何から勉強を始たらいいのかわからない。どんな本を読んだらいいのかわからない方の疑問に答える記事です。

 

2019年12月に株式投資を始め、その後コロナショックを経験し、それでも相場から退場せずにひたすら勉強を続けて2倍株を達成した僕が、初心者の方に読んでもらいたい本3選について紹介していきます。

そして、知識を得たらすぐに行動すべきです。投資であれば損失のリスクこそありますが、その先の利益を得なければ本代も赤字のままです。失敗は誰にでも起こりえるので、そこから学び新しい行動につなげていくことが大切です。

 

 投資初心者におすすめな本3冊

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投資初心者の方が学びやすいように順番も考えて3冊を厳選したので、次の順で読んでもらえたらと思います。

 

めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ZAiが作った「株」入門 改訂第2版
 
株の雑誌Diamond Zaiが作った株の入門書です。この本はそもそも株ってなに?というとこから解説してあり、「日本のバフェット」と言われる竹田和平氏の投資に対する考えた方のコラムもあります。
また、テクニカル・ファンダメンタルの基礎的な指標はもちろんのこと、証券口座の開き方、買い注文、売り注文の出し方から解説してあり、投資を0から学ぶ時に理解しやすい1冊となっています。
 
12万人が学んだ投資1年目の教科書
 
この本は、12万人以上が学んだ投資の学校創業者である髙橋慶行氏の著書です。最初に投資家マインドを身につける重要性について説明があります。その後、テクニカルを中心にした記載があり、特徴的なのは初心者がつまずきやすい波動、ダウ理論グランビルの法則について詳しく解説してあります。そして、マクロ経済についても説明があり相場全体をわかりやすく学ぶことができます。
 
世界のお金持ちが実践するお金の増やし方 
 
3冊目は有名Youtuber髙橋ダン氏の最初の著書です。最初の2冊に比べると少し発展した内容の本ですが、最初の頃に読んでおいて損はない本です。むしろ投資に対する考え方が増え、今後の投資戦略の選択肢をふやすことができます。この本では、株・コモディティ・不動産など投資全般を説明しています。MACDストキャスティクスなどのテクニカル分析の使い方もわかりやすく解説してあります。そして、世界のお金持ちのデータをもとにマインドやライフスタイルをどうするべきかがとても参考になります。
 

本を使った勉強法、やるべき事

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本を買ったら当然読みこんでいきます。この時、ただ流し読みをするのではなく大切だと思ったとことには付箋やマーカーで線を引いたりしていきます。そして、手書きのノートでもwordでもいいのでまとめノートを自分なりに作ることが大切です。このまとめノートが今後、自分の投資のバイブルとなっていきます。

僕の場合ですと、下の写真のようにまとめています。ただ本を要約するのではなく、大事なところをピックアップして自分専用のノートを作っています。本にマーカーや付箋もつけているので、気になることがあったらすぐに振り返れるようにもしています。

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そして、最も大事なことは勉強して得た知識をアウトプットし、行動に移していくことです。最初にも述べましたが、投資であれば損失のリスクは当然ありますが、行動しなければその先の利益も手に入れることはできません。僕自身も含み損や損失を出しながらも勉強を続けることで2倍株を達成しました。「失敗から学び次に生かす」ことがとても大切だと思います。

 
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上の写真で載せた投資戦略の記事です。

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株式トレードを自動で記録・分析し日々の投資活動を助けてくれるアプリ、カビュウについて書いています。

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公開:2020年12月4日

更新:2021年1月5日

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【初心者にもわかる企業分析】6777 santec、光技術を用いた5G関連銘柄

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この記事では独自の光技術を用いて事業展開し5G関連にも該当する6777 santecについて分析していきたいと思います。

本記事の内容

  • santecはどんな企業?
  • 同業他社との比較
  • 5G事業の今後の成長性
  • 令和3年度一般会計概算要求に該当?
  • テクニカル・ファンダメンタル分析
 
人々の自主性、創造性、豊かな個性が開花する、より人間中心の希望に満ちた高度情報化社会、平和で心温まる未来の理想郷を「オプトピア」の創造をsantecは目指しています。どのような事業展開をしているかみていきます。
 

santecとはどんな企業?

1979年創業のオプトエレクトロニクスメーカーです。光測定器(波長可変光源、検査測定装置)、光通信機向けの光部品(光コンポーネント、光サブシステム)を2本柱とする独自製品が多い企業です。
santecは1984年に世界初の「光ファイバー全自動検査システム」を開発、発売したのを始めとし、いくつもの「世界初」となる検査装置を生み出してきた。
この技術を応用して多くの光フィルタも開発してきた。近年は、光波長選択スイッチに着目しており、santec独自の液晶技術を応用して光通信の世界に新たな旋風を巻き起こそうとしている。
また、世界初となるSS-OCT製品も発売し、医療分野、工業用途において注目されている。
光の可能性は通信だけにとどまらず、医療分野を含む新たな光測定分野や光情報処理分野を開拓し、持続的な会社成長にチャレンジしています。
 

事業内容 

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光部品関連事業

主に光通信関連の研究開発や生産活動に必要不可欠な光部品を開発、製造、販売する事業です。光モニタ光可変アッテネータ(減衰器)光フィルタを提供しています。

 

光測定機器関連事業

主に光通信市場向けの波長可変光源各種光測定装置を開発、製造販売する事業です。波長可変光源製品は世界中の大学や研究機関、光通信関連の製造会社で利用されています。

 

光イメージング・センシング関連事業

一般企業向けに販売するOCT光源およびOCTシステム製品、そして医療現場向けに販売している眼科医療機器を開発、製造販売する事業です。

 

同業他社との比較

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同業他社は多く存在し、そのほとんどが1900年代に上場し、時価総額数千億円以上になります。その中でもsantecの時価総額約230億円と小型に分類されます。独自の技術も多いので、時間はかかるかもしれませんが成長性が見込まれます。
 

5G事業の今後の成長性

矢野経済研究所は2020年7月31日、5G関連デバイス世界市場の調査結果を発表しました。2020年の同市場規模はメーカー出荷金額ベースで11兆889億円となり、2030年には約6.3倍の69兆5930億円に達すると予測しています(同調査では5G関連デバイスとして回路、基板、主要部品、デバイス、材料、評価システムなどが対象)。
2020年は5Gサービスの本格展開が見込まれていたが、新型コロナウイルス感染症の影響により設備投資が遅れています。一方で、新しい生活様式の推進により従来になかった活用機会が見込まれるなどのプラス要因も発生しました。

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5G関連デバイス世界市場規模予測 出典:矢野経済研究所

 

令和3年度一般会計概算要求に該当?

 

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出典:令和3年度一般会計概算要求・要望

令和3年度一般会計概算要求から「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」に該当する可能性があります。

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出典:令和3年度 経済産業政策の重点

また、令和3年度 経済産業政策の重点では、サプライチェーン強靭化・サプライネットの構築」の中の「5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業」「医療機器等開発体制強靭化促進事業」に該当する可能性もあります。

 

テクニカル・ファンダメンタル分析

上記のことを踏まえて、ここから以下の記事の方法によりテクニカル・ファンダメンタル分析をみていきます。

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①売上および利益が成長している

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出典:会社四季報 2020年4集

四季報の数値からわかるように売上、利益ともに年々増加傾向にあります。2022年の予想値と2018年の数値を比較すると売上は8000÷4609=約1.73倍、1株益は106.3÷47.3=約2.24倍と順調な成長が見込まれています。また、特徴的なのは毎年、営業利益<経常利益となっていることです。損益計算書から営業外収益が一定量あるため、経常利益が増加していると考えられます。

  

営業利益・経常利益のポイント
  • 営業利益とは、会社が本業で稼いだ利益のこと
  • 営業利益=売上総利益ー販売費及び一般管理費
  • 経常利益とは、本業と本業外で獲得した利益のこと
  • 経常利益=営業利益+営業外収益ー営業外費用
 
さらに、毎年の研究開発費が増額しているにも関わらずフリーキャッシュフローが毎年プラスです。

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出典:santec
研究開発費が大きくなれば投資CFは当然マイナスですが、フリーキャッシュフローがプラスということは、それ以上に営業CFで利益を出せていることです。加えて、有利子負債が0なので経営状態はかなり良好です。
  

フリーキャッシュフロー の概念
「営業キャッシュフロー +投資キャッシュフロー=フリーキャッシュフロー」であり、これがプラスの場合は将来への投資以上に本業で現金を生み出している健全な状態です。

 

時価総額が小さい 

同業他社のほとんどは時価総額数千億円以上になります。その中でもsantecの時価総額約230億円(2020年11月30日)と小型に分類されます。

 

③配当を出している 

 配当は出しており、予想配当利回り1.05%です。

 

④上場10年以内

1979年8月25日設立で、2001年7月24日東証JASDAQ上場と10年以上経過しております。

⑤材料株か?

5G関連として、今後もニーズのある企業です。

 

⑥チャートパターン

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出典:Treading View

ここ数年のsantecの週足チャートです。2019年より3回2400円にチャレンジしていますが、押し返されています。2020年からはコロナショックもありましたが、下値を切り上げながら、上昇しています。

今後は、業績の伸びとともに2400円をブレイクするかによって株価は転換点を迎えると思います。ちなみに2400円のレジスタンスラインと2020年の下値のトレンドラインを結ぶと2021年8月30日でクロスします。

 

⑦注目度が低い銘柄
アナリストレポートもなく、TwitterYahooファイナンス掲示でも書き込みは少ない注目度の低い銘柄です。
 
時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄

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santecは四季報の数値からわかるように堅調な成長が予想されます。しかし、2019年から株価は2400円を超えれずに揉み合いを続けています。特にIRとか出す企業ではありませんが、新製品の発表や何か変化があれば上昇の可能性もある位置にいます。

また、予想PERは2021年4月で20.7、2022年4月で17.9です。予想EPSは21年3月で91.8円、22年3月で106.3円となっているため、これらから株価を計算すると以下のようになります。

  • 21年4月:91.8×20.7=1900円
  • 22年4月:106.3×17.9=1902円

このように計算した場合、現在の株価1930円(2020年11月30日時点)は妥当にあると言えます。ただし、PERが15倍に戻ると考えれば、今の株価は割高ではないのかとも言えます。

続いて、2021年3月期 第2四半期決算短信から貸借対照表を分析していきます。

f:id:me-me-kabu-toushi:20201201003049p:plain貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。

この表から、負債がかなり少なく、現金および有価証券もあるので健全な経営がされていることがわかります。現金も多くあることから年々、研究開発費を増やすことができ、有価証券もあるのでここから経常利益を底上げしていることも推察できます。

ただし、資産合計は約119億円であり、時価総額約230億円(2020年11月30日)で2倍となっているため、この点では割高と言えます。

⑨PSRによる評価

santecの時価総額は2020年11月30日では23,085百万円、2021年3月期の予想は売上高は7200百万円であるので、PSRは以下のようになります。

  • PSR:23,085÷7200=3.2

よって、PSRに関しては2019年の市場平均が1.1だったため、平均よりは割高と言えます。

⑩社長が大事

会社のホームページでは社長の写真もカメラマンに取ってもらったものが選ばれています。代表のメッセージでは「世界初」という言葉がよくみられ、santecの技術の独自性が伺えます。会社理念もオプトピアというかなり先の世界のことも想定している点が面白いと感じます。

なによりもホームページがシンプルでわかりやすいのが消費者にも投資家にもsantecのことを理解しやすいと感じました。

 

今後の成長性

 santecの株価は、計算してみると妥当な位置にあると言えます。しかし、独自性のある技術をもち、経営状態は良好で、フリーキャッシュフローも高いので業績の伸びとともに、株価2400円のレジスタンスラインを突破するのが楽しみな銘柄です。

 

santecについてはこちらでも紹介されています。 

 
昨年の本になりますが、オリンピックを想定した相場や銘柄に関する考え方が勉強になります。オリンピックは延期されましたので、改めて来年の参考の1つになると思います。
 
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公開:2020年12月1日

更新:2021年1月5日

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【初心者にもわかる企業分析】3449 テクノフレックス、上場1年配管メーカーの成長性

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この記事では、水道やガス管をはじめとした配管の金属加工技術を用いてさまざまな分野に事業展開する、3449 テクノフレックスについて分析していきたいと思います。

 

本記事の内容

  • テクノフレックスはどんな企業?
  • 同業他社との比較
  • テクノフレックスの特徴
  • テクニカル・ファンダメンタル分析
 
社会インフラに関わる企業で業績は安定と言われていますが、実際はどうなのかしっかりとみていきます。
 

テクノフレックスはどんな企業?

各種配管に用いられる 管継手のサプライヤーとして社会のインフラを支える企業です。
継手事業防災・工事事業自動車・ロボット事業介護事業を展開しています。各事業は、一見バラバラの分野に見えますが金属加工技術という共通点があります。そして、テクノフレックスは水道管の配管をはじめとし、LNGの配管、原子力発電所半導体工場、製鐵所、H-1ロケット(9号)に関わりライフラインを守り続けています。

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出典:テクノフレックス

同業他社との比較

配管資材銘柄を下の表に示します。

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この関連銘柄の中では、モノタロウが断トツの時価総額です。テクノフレックスはまだ上場1年ですが時価総額は中堅的な位置にあります。最近はベトナムと新潟の新工場を作るようにしており、今後の成長性に期待できます。
 

テクノフレックスの特徴

テクノフレックスは継手事業防災・工事事業自動車・ロボット事業介護事業を展開しています。
 

継手事業

継手事業はさらにフレキシブル継手、伸縮管継手、真空機器に分類されます。

フレキシブル継手

SDF工法向けにフレキ管を提供し第1回インフラメンテナンス大賞(厚生労働大臣賞)を受賞しています。高度経済成長に作られた水道の老朽化は進む一方で管路更新は進んでいません。2015年で更新が必要な管路は13.6%に対し、更新率は0.74%です。そこで、掘り起こさずに補修ができるSDF工法は期待できる技術です。管路更新の推定市場規模は年間約1兆円と需要も見込めます。

 

伸縮管継手

石油・化学プラントなどのエネルギー関連、ガス・水道などのライフライン、製鉄プラントなどの大規模産業設備に提供している。地震や熱膨張などの様々な負荷から設備機器と配管を守ります。

 

真空機器

半導体関連へ提供している。この真空配管は、半導体のみならず様々な分野の工場ラインに設置され、また、医療用の診断装置にも使用されている。

テクノフレックスはマーケットシェアの拡大と新規分野への参入のための新製品の開発、製品ラインナップの拡充を図り、真空機器の更なる業績拡大を目指しています。

 

防災・工事事業

 防災・工事事業はさらに消防設備の配管工事、貯水機能付給水装置、水道管および電柱の切断装置に分類されます。

消防設備の配管工事

この分野では、スプリンクラーなどの消火設備の配管工事を行っており、この工事は3Qではもともと東京オリンピックの交通渋滞緩和のため工事を控える動きがありました。オリンピック中止になってっも工事は増えませんでした。個人的には来年もオリンピックによる影響のでる可能性はまだあると考えています。

日本のスプリンクラー設置率は米国と比較すると米国と比較するとまだまだ少なく潜在的なニーズはあると考えられます。

 

貯水機能付給水装置

配管に貯水という付加価値をつけた貯水機能付給水管装置(マルチアクア)を提供しています。災害などによる断水時に水の供給を確保します。これは、従来のペットボトルによる水の備蓄を必要としないため、水の使用期限を気にすることもなく、ペットボトル水の買い替えも必要ない、エコで便利な製品です。また、国土強靭化計画にも該当します。

 

水道管および電柱の切断装置

東京都が推奨する無電柱化に貢献しています。東京都の無電柱化率は2017年で5%未満とまだまだ需要が見込まれる分野です。

 

自動車ロボット事業

日本の大手ロボット業者4社と取引をし、多くの自動車メーカーで使用されています。

 

介護事業

コロナ禍でもレンタル事業は堅調に推移。福祉用具の販売および介護用住宅改修は、コロナ禍での個人住宅訪問が難しく、苦戦が続いています。

 

テクニカル・ファンダメンタル分析

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上記のことを踏まえて、ここから以下の記事の方法によりテクニカル・ファンダメンタル分析をみていきます。

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①売上および利益が成長している

 

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2020年4集の四季報の数値からは売上および利益は増加傾向にあります。2019年では中国経済の影響を受け、売上、営業利益、経常利益が減少しています。2020年3Qでは通期進捗率は、売上69.4%、営業利益58.0%、当期純利益51.4%とあり、通期では下方修正の可能性も考えられます。記事公開後、下方修正の発表がありました。その場合、2年連続、減収・減益という厳しい状況にもなりそうです。

四季報の予想値を参考にした場合、売上は21800÷18692=約1.16倍、1株益は112.4÷99.6=約1.12倍と微成長が見込まれます。インフラ関連であり、人材不足もあり急激な成長は難しい分野なのかもしれません。

 

時価総額が小さい 

 2020年8月17日では23,816百万円でした。11月24日では24,628百万円で小型に分類されます。

 

③配当を出している 

 上場前より配当を出しており、予想配当利回り3.59%です。結構高めなので機関か何かの要因によって株価を抑えられてるような印象を受けます。

 

④上場10年以内

2001年10月24日設立で、2019年12月10日東証二部上場とかなり若い会社といえます。

 

⑤材料株か?

マルチアクアは国土強靭化、半導体は5G関連と材料はある。

 
⑥チャートパターン

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出典:Treading View

上場1年のため週足でみていきます。コロナショックで一時は600円近くまで下落もその後は、1500円まで上昇し、2020年11月24日では1153円です。公開価格は900円だったので、この1年で株価は上下変動こそあったがあまり変化はなかったと言えます。通期の進捗率も怪しいのでしばらくはこの価格帯を上下すると思われます。

⑦注目度が低い銘柄
アナリストレポートはない、TwitterYahooファイナンス掲示の書き込みも少ない。注目度は低いと言えます。
 
時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄

f:id:me-me-kabu-toushi:20201124210113j:plain

テクノフレックスは四季報の数値から、売上および1株益の5年成長率が約1.1倍なので、この1年間の株価の変動も妥当なものだと考えられます。
また予想PERは2020年12月で11.3、2021年12月で10.2と割安な予想にあります。予想EPSは20年12月で101.5円、21年12月で112.4円となっているため、PERは15倍に回帰するという考えのもと適正株価を計算すると以下のようになります。
  • 20年12月:101.5×15=1218円
  • 21年12月:112.4×15=1686円

このように適正株価を計算した場合、現在の株価1153円(2020年11月24日時点)はやや割安にあると言えます。

続いて、2020年12月期 第3四半期決算短信から貸借対照表を分析していきます。

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貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。

 資産を全体をみると負債が少なく健全な経営と捉えることができます。現金は割合的に少ないですが、インフラ関係の企業のため土地や機械など有形固定資産の割合が大きくなります。資産合計は約260億時価総額約246億とあまり差がなく、資産評価の点では株価は妥当と言えるでしょう。

2020年7月にベトナム新工場が完成し、2021年7月に新潟工場が拡張されます。今は積極的に事業投資を行っているので、これらが収益を生み出すようになれば変化が現れると予想できます。

 

⑨PSRによる評価

テクノフレックスの時価総額は2020年11月24日では24,628百万円、2020年12月期の予想は売上高は20,800百万円であるので、PSRは以下のようになります。

  • PSR:24,628÷20,800=1.18

よって、PSRに関しては昨年の市場平均と同等と考えられます。

 

 

⑩社長が大事

 会社のホームページの代表メッセージでは社長の写真が何度も出てくるのが強いインパクトを受けます。しかし、株主・投資家の皆様へのページでは、「2019年に上場〜感謝申し上げます。」とあり、1年前の出来事を書くよりも、コロナ禍や社会環境に応じたメッセージを書かれた方がいいかなと思いました。

また、上場記者会見では、中国やベトナムなどの海外での販売比率は6%であり、現地での品質に対する要求はまだ高くないとのこと。5〜10年経つと状況が変わってくるとみており、品質の重要性が脚光を浴びる時に販売を強化したいとのこと。そのようになれば株価上昇の追い風になる可能性も考えられます。

 

最後に

 ここまでテクノフレックスについていろいろ分析しました。今の株価については個人的に適正~やや割安にあるのではないかと感じます。インフラ関連企業のため、潜在的ニーズがあり、業績に関しては多少の上下変動はありますが、一定水準を保てるのではないのかと思います。

チャート的にはこの1年コロナショックもありましたが、いまはコロナ前とほとんど変わっていません。配当もあるのである意味では金より安定した資産ではないのかとも言えます。

上場後まだ1年で、同時期にIPOしたメドレーやフリーはすごい上昇しています。テクノフレックスは通期で下方修正のリスクがあり、記事公開後に下方修正の発表があり、暴騰させるような材料はみられませんが、四季報予想のような業績の伸びと共に株価も上昇してもらえたらと思います。

 

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公開:2020年11月26日 

更新:2021年1月5日

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【初心者にもわかる企業分析】4251 恵和、Appleのサプライヤーチェーン

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この記事では、今年のはじめに5G関連で急騰後下落し、最近では東証一部昇格の可能性やAppleサプライヤーチェーンとして知られる高機能フィルムメーカーの4251 恵和について分析していきたいと思います。

 

本記事の内容

  • 恵和はどんな企業?
  • 同業他社との比較
  • KYOZINについて
  • Apple Clean Energy Program
  • クリーンエネルギー
  • 一部昇格か?
  • テクニカル・ファンダメンタル分析
  • 今後の成長性
 
いろいろな材料があるといわれ、国策にも関係する可能性がある企業なのでそれぞれしっかりとみていきます。
 

恵和はどんな企業

恵和は高機能フィルムメーカーで、顧客ニーズに合わせた先端機能フィルムソリューションを提供する企業です。
取り扱いは機能製品事業(33.7%)と光学シート事業(66.3%)です。機能製品事業は主に産業用部材で包装資材、工程紙、農業資材、クリーンエネルギー資材、インフラ関連資材が含まれます。光学シート事業はノートPCなどのディスプレイに使用されるシートで光拡散フィルム、高機能化学フィルム、複合拡散フィルムが含まれます。
また、この光学シート事業内の小型液晶ディスプレイ(スマートフォン用)は高級セグメントであり、一時5G関連のテーマ株として取り上げられ急騰の一要因になりました。この秋、5Gの商用サービスがスタートしましたので、スマートフォンの買い替えが進めば再度株価上昇の追い風になることも考えられます。
 

同業他社との比較

包装フィルム銘柄を下の表に示します。

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これら17銘柄は株探で包装フィルム関連として取り上げられています。そして、ここから見えてくる特徴は、老舗企業が多く、時価総額200億以下が多いことです。なかでも恵和は上場1年と最も若く時価総額約110億と平均的な位置にあるので、材料と売上や利益などの経営がしっかりと成長すれば、それに伴い株価上昇の可能性もあると考えられます。
 

KYOZINについて

コンクリート保護シートで、コンクリート表面に貼り付けることで、コンクリートの劣化を防ぎ、構造物の保護、延命化することができます。KYOZINを利用することで従来工法では4〜5日かかる工程を1日に短縮可能とされています。
これは、NEITS(新技術情報提供システム)にも登録されており、高速道路やビル、鉄道のコンクリート部分に生じる亀裂を補修する いわゆるコンクリートの絆創膏。修繕は人手や工期不足、現場の危険性などで大変な仕事ですが、あっという間に補修できるため注目が集まっています。
 

Apple Clean Energy Program

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恵和は自然と産業の調和を想像する経営理念のもとCSRを重視してきたが「サプライチェーンの100%カーボンニュートラル達成」というAppleに賛同し、このProgramに参加しています。
そして、Apple2030年までにサプライチェーンの100%カーボンニュートラル達成をするものとしています。
ただし、恵和は“TBD reflects solutions not yet finalized.”とあり、まだどのような役割を果たすかは決まっていないようです。

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出典:令和3年度一般会計概算要求・要望
また、上記の令和3年度一般会計概算要求内の経済産業省の要望項目に「国内サプライチェーン強靱化支援事業及び海外サプライチェーン多元化等支援事業」とあり、来年度から国策として支援される可能性もあります。
 

クリーンエネルギー

機能製品事業における「クリーンエネルギー資材」の一例として、東京オリンピックパラリンピックに向けて開発される燃料電池の電池のガスケットが発行体の製品を基に作られ、2020年7月より量産出荷をしています。

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出典:令和3年度資源・エネルギー関係概算要求のポイント

そして、この燃料電池車に関することも経済産業省の概算要求において次世代自動車の普及促進とあり、この分野も国策として支援される可能性があります。

 

Apple Clean Energy Program、燃料電池車より恵和はある意味で環境関連銘柄とも捉えることができます。そして、令和3年度に国策としても見直されれば、フィルム関連および環境関連として投資妙味は出てくるのではないでしょうか。

 

一部昇格か?

 恵和は大和証券東証一部昇格予想銘柄のなかで最高のトータルスコア6を獲得しています。また、以下に示す東証一部昇格基準を満たしています。

  1. 株主数:2,200人以上
  2. 時価総額:40億円以上
  3. 流通株式数:2万単位以上
  4. 流通株式比率:35%以上
  5. 流通株式:20億円以上

ただし、これらの条件を満たしていても昇格前によくみられる優待新設立会外分売株式分割がみられないので一部昇格はまだまだ先のことだと考えられます。

*11月27日に東証一部昇格のIR発表がありました。

 

テクニカル・ファンダメンタル分析

上記のことを踏まえて、ここから以下の記事の方法によりテクニカル・ファンダメンタル分析をみていきます。

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①売上および利益が成長している 

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出典:会社四季報 2020年4集

四季報の数値からわかるように売上および利益は増加傾向にあります。ただし、2020年12月期の決算ではコロナ禍の影響により、売上およびEPSは一時的に下がります。また、3Qの決算から進捗率を計算する(×100は省略)と以下のようになります。

  • 売上高:10879÷15141=71.8%
  • 営業利益:853÷1025=83.2%
  • 経常利益:808÷992=81.5%
  • 当期純利益:677÷761=88.9%

このように3Qにしてかなり進行していると考えられます。そして、2020年12月期では会社四季報と会社予想を比較すると利益にかなりの差があります。これらのことから、本決算においても上方修正が予想されます。

2021年の予想値と2017年の数値を比較すると売上は15800÷14558=約1.08倍、1株益は124.8÷38.2=約3.26倍と順調な成長が見込まれ、利益率の高い事業が伸びていると思われます。2021年12月期では2020年と比較して売上の回復、利益の続伸が予想されるため、今後の材料にも期待が持てます。

 

時価総額が小さい 

 2020年8月21日では10,063百万円でした。11月19日では11,097百万円でまだまだ小型に分類されます。

 

③配当を出している 

 上場前より配当を出しており、予想配当利回り0.78%です。

 

④上場10年以内

1948年9月28日設立で、2019年10月30日東証二部上場とかなり若い会社といえます。

 

⑤材料株か?

一時は5G関連として、一時はコロナ禍のリモートワーク関連として取り上げられました。今後も光学シートの需要は引き続くと思われます。また、コンクリートの絆創膏にApple、クリーンエネルギーと様々なことが予想されます。

 

⑥チャートパターン

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出典:Treading View

いつもは月足で中長期的に評価していますが、上場1年のため今回は週足でみていきます。

2020年1月に1度急騰し、コロナも相まって急落しています。その後、底値形成のようなレンジ相場になっています。材料次第でまだまだトレンドが変わる可能性もあると思われます。

 

⑦注目度が低い銘柄
アナリストレポートはないが、TwitterYahooファイナンス掲示で気にされている方は書き込みがあります。しかし、書き込みも一時より少なくなり悲観的な方もみられ注目度は低いと言えます。
 
時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄

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四季報から恵和に関しては、業績の続伸、配当の継続があります。自己資本比率ROEROAは充分な値にあります。そして年々売上および利益を伸ばし、配当もありますが株価はレンジ相場にあります。また、四季報では新刊が出るたびに恵和の予想は改善されているので、徐々に見直しが入る可能性もあります。

予想PERは2020年12月で10.9、2021年12月で10.3と割安な予想にあります。予想EPSは20年12月で118.6円、21年12月で124.8円となっているため、PERは15倍に回帰するという考えのもと適正株価を計算すると以下のようになります。

  • 20年12月:118.6×15=1779円
  • 21年12月:124.8×15=1872円

このように適正株価を計算した場合、現在の株価1385円(2020年11月19日時点)は割安にあると言えます。ただし、過去の最高値は2967円であり、材料次第ではまだ株価急騰の可能性もあると考えられます。

続いて、2020年12月期 第3四半期決算短信から貸借対照表を分析していきます。

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貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。

負債が資産の半分以上を占めますが、自己資本比率は30%を超え平均的な値です。また、上場調達資金の一部を設備新設に変更していますので、負債が多くかつ土地の割合が多くなるのも納得できます。そして、新しい設備を作ることは将来的に新しい利益を生み出すことにもつながります。

ROEは予想で18.0%ROAは予想で6.4%と財務的にも問題はないと思われます。しかし、資産合計は約153億円に対し時価総額約110億円なので割安にあると言え、株価の上昇余地はここからもみえます。

 

⑨PSRによる評価

恵和の時価総額は2020年11月19日では11,097百万円、2020年12月期の予想は売上高は15,100百万円であるので、PSRは以下のようになります。

  • PSR:11,097÷15,100=0.73

よって、PSRに関してはやや割安と考えられます。

 

⑩社長が大事

会社のホームページから社長の写真もカメラマンに取ってもらったものが選ばれています。代表のメッセージを読んだ「ダイナミックドメイン」という言葉を作っているのが印象的で熱い方だと思います。そして、2度にわたる石油ショックバブル崩壊を乗り越えた経営力はこのコロナ禍でも発揮されるのではないかと思います。

光拡散フィルムも随一の実績があり、世界各国に関連企業もあるので今後の活躍が期待できます。

 

今後の成長性

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成長戦略に関しては上場記者会見の際に社長がいろいろと述べていました。

まず、強みを生かせる分野に集中していくことと、構造物への絆創膏は凄いビジネスになると述べていました。まだ、NETISに登録した段階なので、期待が持てます。また、日本ならではのアドバンテージを活かした光学ビジネスでトップを走り、世界中の顧客の認知度を高めることで、高い信用が要求されるインフラビジネスの突破口としたいともありました。

定量的な目標では、事業を整理しながらあるタイミングで増収増益にしていきたいとあり、昨今のコロナ禍によりこのことはかなり進んだのではないかと考えられます。

経営戦略は、強みであるサプライチェーン全体に入り込んで顧客ニーズを把握する「ウルトラプレシジョンマーケティング」を用い、顧客のさらに先の顧客へと一気通貫でビジネスを提供することで、全体の動向がある程度見え、サプライチェーンの中の本来のボスが誰か分かります。そして、その人とコンタクトすることで、ミッションとしてなすべきことが明確になり、他社に先行した開発テーマの獲得につながるとも述べています。この戦略の1つがApple Clean Energy Programの参加だと考えられます。これもまだ始まったばかりのことなので、成長に期待が持てます。

このように、この1年を振り返ってみると恵和の絆創膏やAppleなどの計画はまだまだ始まったばかりだと感じられます。今後、新技術や企業の堅調な成長があるのではないかと思います。

 

最後に

今回は、恵和に関する様々な材料を検証し充分に期待できるものだと思いました(一部昇格に関してはまだ先だと個人的には思います→*11月27日に東証一部昇格のIR発表がありました。)。そして、株価はいろいろと計算しまして割安にあると感じました。上場1年という成長性×材料×割安がこの先のニューノーマルにおいてレンジトレンドを抜けて新たな相場を作ると面白いのではないかと思いました。

 

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