【初心者にもわかる企業分析】3172 ティーライフ 進化するウェルネス&ライフサポート企業
公開:2021年11月5日
なぜ、今お茶関連銘柄に注目するのか?
この記事を読む方の大半がこう感じていると思います。2021年は海運、資源、半導体、自動車、DX関連といったさまざまな銘柄が注目をされています。この記事では、そうした流行りとは無縁ではあるもののお茶関連銘柄の長期的な可能性についてまとめました。
ティーライフとはどんな企業?
この図から人生100年時代、各ライフステージに合わせた生活を支える事業となっていることがわかります。医療技術の進歩により人の寿命は今後も伸びることが予想されます。そのため、ティーライフのビジネスは今後の潮流を捉えていると考えられます。
小売業:主力商品
スッキリプーアール茶
ティーライフの主力商品の中でも核となる商品です。蒸気殺菌技術 によって美味しく飲みやすい仕上がりとなっています。
ルイボスティー
美容や健康をサポートする健康茶として有名。ティーライフの ルイボスティーは、熱湯を注ぐだけで手軽に飲用できます。またノンカフェインで、Amazonのレビューでは4000件超、星は4.4と高評価です。
メタボメ茶
香ばしい黒豆をはじめ、プーアール茶やウーロン茶、 杜仲茶をブレンドした健康茶として人気が高いです。
hugm ナチュラルシャンプー
静岡県の茶畑で一つひとつ手作業で拾い集めた茶ノ実から、 圧搾法で丁寧に抽出した茶ノ実油を配合。髪や頭皮を健やかに保つオールインワンシャンプーです。
teatea
お茶屋こだわりの3つのお茶「プーアール茶」「 緑茶 」「 ルイボスティー」をオリジナ ルでブレンドした化粧品です。
Webサイト
ショッピングサイト(PC・スマホ)や企業情 報サイトの運営、大手外部モールへの出展の ほか、Web広告やランディングページなどを 展開しています。 また、海外展開を強化しており、中国、英語圏 をはじめとする海外Webショッピングモール への出展やショッピングサイトを運営して います。今後はさらなる海外進出拡大を視野に入れられています。
卸売業:商品カタログ
自社で企画・製作してお客様に届けています。「より豊かで幸せな時間と空間」をお届けすることを目指しており、「オンリーワン」をコンセプトに、ワンランク上の商品構成を特徴としています。
プロパティ事業
ティーライフの袋井センターは、5万7129㎡の敷地面積と6万2429㎡の延床面積を持つティーライフグループの物流拠点です。
また、外部の通信販売会社などの物流受託を行う3PL事業(3rd Party Logistics:サードパーティ・ロジスティクス)や外部の物流会社などへスペース貸しを行う賃貸事業を展開しています。
日本の真ん中に所在するという地理的な優位性と自社物流で蓄積したノウハウを活かし、通販物流のプロフェッショナルとしてお客さまに最適なソリューションを提供していきます。
SDGs達成に向けた取り組み
ティーライフの事業そのものが人々の健康増進、環境負荷の低減、健全な社会の維持発展につながるものと考え 、「持続可能な開発目標 (SDGs) 」の実現に取り組まれています。
付加価値の高い企業か?
インターネット等により商品の品質・価格等が容易に比較可能ななか、真に選ばれる存在となるため、ユニークな自社製造商品の開発や、機能性表示食品等の機能性の高い商品の拡充等を進め、お客様のニーズに対応しています。
競争優位性はあるか?
接客レベルの向上や出荷体制の強化等、既存サービスのブラッシュアップに加え、ユニークな企画・サービスによる商品の先にあるライフスタイルの提案力やコミュニケーションスキルを磨き、お客様との関係性を深めることにより、競争優位を創造しています。
競合他社との比較
ティーライフはさまざまな商品を取り扱う小売・卸業そしてプロパティ業です。主力のお茶関連銘柄を比較します。時価総額と上場年月日から規模、成長性を比較していきます。
アサヒの代表的なお茶は十六茶です。アサヒは他にもビール、カルピス、三ツ矢サイダーと誰もが飲んだことはあるものを多数取り扱っており、時価総額も随一の企業です。
キリンも午後の紅茶、生茶と王道の商品があり時価総額がアサヒにつぐ企業となっています。
コカコーラは綾鷹、紅茶花伝、麦茶に誰もが飲むコカコーラを取り扱っています。
このようにしてみるとコンビニやスーパー、自販機による販売では大手が独占している状態で他企業の新規参入が難しくなっています。
Amazonや楽天では大手のペットボトルの箱売りはもちろんのこと、お茶っぱやパックなどさまざまな商品が取り扱われています。上記銘柄の中で、ティーライフの商品は圧倒的なレビュー数があり、この厳しい業界で自社ブランドを確立していると考えられます。そして、時価総額61億、上場10年以内と若い企業で海外展開も強化しているので、今後の成長性に期待が持てます。
長期的潮流にのっているか?
近年のEC市場の成長性に加え、コロナ禍での消費者のライフスタイルの変化を踏まえ、さらなるデジタルシフトに注力するとともに、既存のインフラ及びノウハウを生かした新規事業として、ウィッグの販売を開始し、売上拡大に取り組んでいます。海外販売に関しては、戦略の見直しを図り、現地協力会社との取り組みを強化し、BtoBによる取引拡大に注力しています。プロパティ事業においては、保有資産の収益化に取り組むとともに、新たな投資案件の開拓を進め、収益の柱となる事業育成に取り組んでいます。あわせて、グループ力を高める戦略的なM&Aを推進し、持続的な成長の実現を目指しています。
さらに、お茶に関しては誰もが飲むものです。日本では今後人口減少は避けられない社会問題となっていますが、世界的にみれば人口は増加していきます。そうした中で、海外販路を拡大していけば業績も伸びると予想されます。また、海外の途上国の経済発展が進めば、嗜好品としてさまざまなお茶が飲まれることも予想されます。また、人生100年時代で日本だけでなく世界的に寿命が伸びることも予想され、そうした中で健康という分野も伸びていくことが想定されるため、ティーライフにとって追い風になると思われます。
財務状況は?
まずは四季報からみていきます。
19年7月期にEPSは底をつけて反転しており、そこから順調に伸びています。売上高のみであれば毎年順調に伸びています。
ROEは10%、ROAは5%以上をキープしています。この2つの数値が高いと業績および株価にも影響を与えやすいと考えています。
24年7月期売上高153億円、経常利益14億円を目指す中計が策定されおり、目立つことはありませんが、安定かつ持続的な成長が予測されます。
次に決算短信をみます。
2017年期より売上、利益などをまとめたものです。売上10%以上、利益20%以上(粗利は除く)の項目は水色に塗ってあります。2019年期より売上の成長、その後2020年期からは利益も成長しています。
決算短信を四半期ごとの業績に分解したものもみていきます。
こちらでもほぼ同様の業績推移をしています。M&Aの影響か粗利が年々下がっているのは気になります。
ここ2年ほどここまで強く業績が推移しているにもかかわらず上場来高値を超えていないのは割安に感じます。
損益計算書もみます。
ここから粗利率が高く、減価償却費および支払い利息が低いことから何らかの競争優位性を有していると考えられます。
ただし、毎年粗利率が低下していること、販売管理費(SGA費)が高いことが気になります。SGA費の内訳に関しては広告宣伝費が高額になるのは理解できますが、その他の項目がかなり高額になっていることが特に気になります。
貸借対照表もみます。
利益剰余金、資産を毎年着実に増やしているのは良いです。そしてROEも12%を超えているので、積み上げられた利益はいずれ株価に反映すると思われます。
四季報ではM&Aに積極的とあり、実際にのれんが低下してきおり、利益剰余金は増加しているため今後もM&Aの可能性は期待できます。
また、自己株式調整済み負債比率も0.8以下であり、高い収益力、競争優位性が背景にあると考えられます。
キャッシュフロー計算書ではキャッシュの増加を確認できます。
*ここでの財務分析では次の2冊の書籍を参考にしています。さらに詳しくみたい方はリンクをご参照してください。
これらからみえてくる今後の可能性
上記のことを踏まえて、ここから以下の記事の方法を参照しさらに深掘りしていきます。
①売上および利益が成長している
会社四季報からも19年7月期を底に23年7月期予想まで順調に成長しています。中長期経営計画では24年7月期では連結売上高150億円、経常利益率9.5%、ROEは14.5%を目指すとあります。増減率では売上10%、利益20%の成長が見込まれます。
ROE14%ですとファーストリテイリングやワークマン、エムスリーといった銘柄があげられ、株価にもそれ相応の影響を与えると予想されます。
②時価総額が小さい
時価総額は2021年10月29日時点で約60億円、いわゆる小型企業です。
③配当を出している
配当は52円出しており、配当性向は30.8%、配当利回りは3.7%と高配当です。
このまま24年7月期まで順調に成長すれば利益、資本も増加するので増配や自社株買いも期待できます。
④上場年
1983年8月1日設立で、2012年3月6日に上場と上場してからはまだ若い企業です。
⑤材料株か?
お茶関連銘柄で全く材料やテーマ株にはなりませんが、「持続可能な開発目標 (SDGs) 」の実現に取り組んでいます。
ただし、日本は少子高齢化、寿命の延長、コロナ禍(将来は新たな病気の可能性も)といったことを考えると健康を支える、生活を支えるティーライフの事業は長期潮流にのっていると言えるでしょう。
⑥チャートパターン
上場後1度は高値をつけるもその後は下落トレンドへ、そして最近また新しい上昇トレンドとなっています。業績は過去最高を更新していますが、株価はまだ最高値を更新していないことから上昇余地は伺えます。
⑦注目度が低い銘柄
TwitterやYahooファイナンス掲示板ではぜんぜんコメントがつかない人気の低い銘柄です。日々の出来高からも注目度の低さはわかります。
⑧時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄
ティーライフは2021年10月29日時点で株価1412円、PER8.49倍、PBR1.10倍です。
四季報の予想PERは22.7期で8.9倍、23.7期で8.1倍ですが、東証一部の2021年9月の小売業の平均PERは82.4倍とかなり乖離があります。
この平均値から将来の株価を計算すると以下のようになります。
- 22年7月:167.1×82.4=13769円
- 23年7月:183.5×82.4=15120円
このようにみると小売業としてかなり割安に放置されいます。単純なお茶関連企業ではなく、小売業、卸売業、プロパティ事業がそれぞれ成長拡大すれば株価の成長もPER82倍とまではいかずとも期待できます。
また、利益剰余金が毎年着実に増加しており、今後の大廃業時代においてM&Aに積極的なティーライフは財務的にも強いといえます。
⑨PSRによる評価
ティーライフの時価総額は2021年10月29日では6,001百万円、2022年7月期の予想は売上高は11,906百万円であるので、PSRは以下のようになります。
- PSR:6,001÷11,906=0.5
よって、PSRに関しては割安といえます。
⑩社長が大事
トップメッセージでは、今後の経営計画や市場についてついて以下のようにいろいろ書かれています。
『中長期的な高齢化、人口減少など直面する変化は急速で、事業環境は決して易しくありません。生き残るには、健康を維持出来るイノベーション商品を開発するか、新しい市場に向けて販売を増やすしかありません。
2021年、ティーライフグループは、新たな中期経営計画をスタートします。
Reborn(リボーン)をスローガンに、皆さまの健康とQOL(生活の質)を高める為に、事業の見直しとデジタル改革を行いながら最小限の資源で最高の価値を上げられるようにチャレンジ致します。引き続き、地球環境に配慮し、SDGs達成に向けた取り組みも積極的に進めてまいります。
今後の展開としては、デジタルシフトの加速、中国市場への現地販売スタート、新事業への展開など、新しい領域に挑戦し、ビジネスモデルを構築することで、皆様から必要とされる企業を目指します。』
そして、2021年7月期の決算説明会では、22年7月期に投資を行い、デジタル、物流に注力をする、通販プラットフォームの改善をし、23年7月期にその効果が出てくると言われています。特にプロパティ事業が伸びそうです。
また、説明会では、利益が出過ぎていると言っており、今後も十分に利益を伸ばしそうな雰囲気が感じ取れます。
この生きること、生活を支えていくティーライフの事業は今後も成長が期待できそうです。
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*この記事は、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でお願いします。
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