株式投資ファンダメンタル分析のすすめ②~PBRのとらえ方~
今回はファンダメンタル分析からPBRについて説明していきます。
PERに加えて企業価値を評価する重要な指標の1つです。
PERはこちらの記事で解説してます。
PBRとは?
PERが「利益」から株価水準を測るのに対して、企業の「資産」から測るのが、PBR(株価純資産倍率)です。
株価を1株あたりの純資産で割って求めます。純資産とは、会社の総資産から負債を引いたもので、純粋に会社が持っている資産のことです。
そして、PBRは会社が解散した場合の株主が受け取れる資産の割合を示す数字でもあります。PBRが1倍なら、株価と同じ資産を受け取れることになり、この数値が高いほど割高になります。逆にPBRが1倍未満なら割安ということになります!
特に、赤字企業ではPERは評価できないので、PBRによて割安かどうか評価することになります。
PBR1倍以下は買い時か?
PBRが1倍割れの理由については次のことが考えられます。
①赤字の企業
②優良企業だが一時的に株価が下がっている
まず、赤字の企業もしくはそうなりそうな企業ですが、純資産がどんどん減っていきます。よって、今の純資産をもとに計算したPBRは全く参考にならず、たとえPBRが1倍割れていても買い時ではないので要注意です。
ただし、赤字企業でも材料やテーマ性があれば株価は上昇します。ここの見極めもとても重要なので、IRやニュースチェックは必須です。
また、将来の見通しが良い優良企業だが、一時的に調子が落ちていたり、コロナショックのような暴落で株価が下がった時にPBR1倍割れている場合は、買いのチャンスです!この場合は、PBRが1倍の価格に戻ることが期待でき、さらに上昇する可能性もあります。
PBR1倍は底値メド
PBRを計算する時の「1株純資産」は帳簿にのっている現預金や不動産から計算した金額ですが、優れた経営であれば、これらに加えてノウハウ、技術やブランド力といった帳簿にのっていない価値も蓄えられます。よって通常は、会社の価値は純資産以上になるはずであり、PBRは1倍以上の状態になります。
そして、日本を代表するような優良企業で注目度も高い銘柄であれば、PBR1倍近くまで下がる場合、底値と考えて株を買う投資家が多いと考えられています。
PERとPBRの違い
PERは、今期獲得するであろう当期純利益の額と株価を比較して株価の割高・割安を判断する「フロー」の指標です。
一方、PBRは、すでに現時点で企業に存在する純資産の額を企業価値ととらえ、これと株価を比較して割安か判断する「ストック」の指標です。
つまり、PERは、これから企業が獲得する企業価値と株価の比較であるのに対し、PBRはすでに企業が持っている企業価値と株価の比較をするものです。
利益の変動が激しい企業のPERは大きく上下に動きやすく、年によって、PERが5倍や100倍になります。また、利益の額が非常に小さいと分母が小さくなり、PERが非常に高くなることもあります。さらに、赤字の企業では、PERの計算はできません。そのため、業績が安定して毎年黒字を計上している企業でなければPERによる適切な株価評価は難しいです。
このような場合に、ストック面からみた時点での企業価値と株価を比較した指標であるPBRを使います!そして、上述した点に注意しながら、PBR1倍の水準まで株価が下がっている企業を探し、買い注文をいれるか検討します。
バフェット流投資のPBR
結論から先に言いますと、ここまで様々なことを述べてきましたが、PBRはバフェット流投資では重要視されていません。
当初バフェットも、企業が収益を生むためには設備などの「資産」が必要不可欠であり、逆に設備などの「資産」があればそれなりの収益を上げることが可能と考えていました。
しかし、後にいくら設備「資産」があっても「その設備で生産した商品が売れなければ収益を得ることができず、株価も上昇しない」そして「企業が日々、上げる収益こそが株価を上昇させる」と考え、解散価値(PBR)に重きをおいていません。
現代の優良企業は「サブスク型」や「ファブレスメーカー」も多く、設備「資産」という重荷を持たない企業が多く、解散価値が高いことは、必ずしもプラス評価にはなりません。
また、解散価値はあくまでも帳簿上の金額であり、実際にその価格で売却できるとは限らず、不良在庫も帳簿上では資産であり、生産が落ち込んで閉鎖した工場も資産です。なので、バフェット流投資ではPBRは重要視されていません。
しかし、PBRは四季報に記載されており、底値の基準としても使えるので、必要に応じて評価し判断するのがいいでしょう!