【投資の勉強】会社四季報 2021年4集秋号を通読•考察する
公開:2021年10月10日
投資初心者の方で「とりあえず四季報を買ってみたけど、どうしよう?」こういった疑問を持つ方が多くいると思います。実際に僕も最初は会社四季報を買ってみたけど、数字ばかりでちっとも面白くもありませんでした。ですが、いろいろ勉強して今では会社四季報の発売を毎号楽しみになりました。
この記事を読むことで会社四季報の使い方のコツを学ぶことができます。
会社四季報とは
会社四季報とは、上場企業の業務内容、概況、業績、財政状態、株主をまとめた本です。年4回3月、6月、9月、12月にそれぞれ発売されます。
会社四季報は当期および来期の将来2期分の業績予想が掲載されており、これらの情報から優良銘柄を探していきます。
四季報銘柄のスクリーニング
下記の内容でスクリーニングを行います。
📙会社四季報 2021年秋号
— メーメー (@me_me_me_me7) 2021年9月13日
次の条件で気になった銘柄をピックアップしていきます!
①時価総額200億以下
②売上、利益、EPSが3〜5年上昇
③ROE10%以上
④チャートが上昇もしくはレンジ
⑤株価(2000円以下)
⑥上場10年以内
あとは、テーマ性や四季報の評価などを考慮して探していきます🧐
①時価総額が200億以下
通常小型株は時価総額300億以下といわれますが、僕は200億以下にしています。これは、300億だと銘柄数が増えることとある程度株価が上昇してしまい、買いにくいからです。
最も理想的な時価総額は50億以下と考えています。この時価総額は上がりやすく、下げてもあまり下がりにくいためリスクを抑えられるからです。
②売上、利益、EPSが3〜5年上昇
これは、単純にグロース系の要素を見ています。そして、スクリーニング時にどんな成長力があるか捉えやすいからです。
③ROEが10%以上
なぜROEが10%という数値で区切るかというと、ここより高い数値では、株価の上昇力として影響を与えやすいからです。
④チャートが上昇もしくはレンジ
チャートが新高値ブレイクを狙わないのかと言われそうですが、四季報は過去チャートで、新高値銘柄を買おうとすると高値掴みするリスクがあるからです。
そこで、株価の初動を捉えるために上昇もしくはレンジで考えています。
⑤株価(2000円以下)
これは、時価総額が低くても株価が高いものは多くあり、単純に僕のような個人投資家でもある程度枚数買える価格として設定しています。
⑥上場10年以内
上場10年以上の銘柄より10年以内の銘柄の方が成長力に期待が持てるからです。
これら全てに当てはまるのはごくわずかと考えられるため、全て該当しなくても、テーマ性や四季報の評価などを加味しながら選定していきます。
気になる銘柄
ここから上記条件にあう気になる銘柄をみていきます。個人的に気になるもので決して買い推奨というものではありません。あくまで投資は自己責任でお願いします。
1717 明豊ファシリティワークス
事務所や工場、学校などの建設、移転を支援するCM(コンストラクションマネジメント)が主力。
上場10年以上経過していますが、オフィスの脱炭素化の需要は今後も長く続きそうであること、近年は郊外に建てた大学が都市部に戻ってきていることに加え、大学の定員削減による学部統廃合が進めば、ここの需要は安泰と考え選びました。
ただし、株価は長期上昇トレンドではあるものの、値動きが小さいため投資した場合に利益をどこまで出せるのかが心配点です。
2884 ヨシムラ・フード・ホールディングス
複数の中小食品企業をM&Aし相互補完、傘下に食品卸、中華、冷食、清酒、水産加工、製麺など。
ROEが10%未満ですが、この銘柄を選んだ理由は、中小企業が相互補完し、知識や互いに足りないものをシェアリングしているビジネスモデルのためです。
将来、日本は少子高齢化に加え、企業の大廃業時代が加えると言われています。そのため、ここのビジネスモデルは長期的観点から耐力があると考えられます。
3172 ティーライフ
PB健康茶、化粧品などをカタログ、ネットで販売。
上場10年以内、ROEも高い、成長銘柄です。お茶は誰でも飲むものです。お茶といえば大手企業が多数思いつきますが、ここではメタボメ茶、プーアール茶、ルイボスティー等の付加価値をつけられた健康茶を取り扱いしています。
今からお茶で大手を抜くのは非常に困難ですが、コロナにより健康思考が高まっているため、ティーライフの健康茶は今後も期待できます。
3294 イーグランド
首都圏地盤にマンション・戸建て中古再生事業を展開。販売価格2000万円以下の物件が中心。
コロナ禍によるテレワークの広がりにより、販売件数が伸長。
家を買いたいと思う若年世代は意外と多く、そうした中で2000万円以下が多いとなると手が出しやすいと考えられます。また、首都圏を中心にすることで、長期的に日本の人口は減るが、人が集中するためビジネスも十分継続可能と考えられます。
3355 クリヤマホールディングス
ゴム、合成樹脂製ホースを日米欧で展開。運動施設・建設用床材も。子会社で尿素SCR事業。
上場10年以上、業績に波はあるが、尿素センサー・タンクでは終息がないこと、消防用ホースの欧州でのシェア拡大、光る点字タイルと材料が豊富な1銘柄です。
3562 No.1
OA機器や自社企画の情報セキュリティ機器販売が柱。IT化など中小企業のビジネス支援。
業績も良好でDXの需要拡大、クラウドサービスによるストック収益の拡大が見込まれる成長期業です。ただし、参入障壁が低そうな業態だから、永久保有するぐらいの長期で考えると心配です。
3565 アセンテック
仮想デスクトップのソリューション、ソフト・端末販売、保守・コンサル軸。クラウドサービスも。
ITインフラ事業の銘柄で、コロナ禍において業績が伸びやすいです。仮想デスクトップという固有技術に注目です。
3675 クロス・マーケティンググループ
リサーチからDXやデジタルマーケティングへ事業の主軸が移行・拡大。世界市場へ事業展開。
コンサル事業で世界市場へ展開しているのは競争力の強さを感じます。業績の伸びもドゥ•ハウスフル連結により大きく伸びています。
ただし、懸念点として、マーケティング・コンサル事業では珍しく自己資本比率が低いです。
3933 チエル
学校教育向けICT事業が柱。授業支援システム、情報セキュリティほか、進路支援サービスも。
学校教育の場のデジタル化は今後もさらに進むと考えられるので、ここの成長性は期待できます。
4241 アテクト
半導体保護資材で世界首位。衛生検査器材はシャーレ主体。PIM(粉末射出成形)事業育成中。
世界首位は強い。そして10円配当復元は業績の強さを表しています。
しかし、上場10年以上経過しており、あまり株価が動いていない点、貸借銘柄になっていないことを見るとあまり株価は意識されていない?と感じます。
5070 ドラフト
オフィスや商業施設、都市開発などの空間設計・施工の大手。従業員の約5割がデザイナー。
業績は良好で、空間設計・施工に関しては、コロナ禍による働き方や生活の変化で今後もさらに変化すると考えられます。そのため、ここのニーズも高まっていくことが期待できます。
6165 パンチ工業
金型部品国内2位。中国は8000社の顧客基盤を持ちシェアトップ級。特注品製造に強み。
業績は21.3期より急激に回復しており、自動車、半導体、コロナワクチン接種用の注射針の影響を受けています。そのため、需要が落ち着けば業績に影響は出そうですが、中国に8000社も顧客がいるため中国経済の成長とともに続伸ができそうです。
6613 QDレーザ
半導体レーザー技術を活用したデバイスを開発、販売。視覚障害者向けアイウェアを育成。
時価総額300億超え、チャートは下落トレンドだが、業績は赤字を確実に減らしている。半導体レーザーを活用した固有技術で第2のレーザーテックとなりえるのか注目です。
6617 東光高岳
機器主体に電力ネットワーク関連が主力。旧高岳製作所、旧東光電気が14年経営統合。東電系。
業績はROEが低いものの良好でEV向け充電器堅調増で、子会社を吸収合併しEV充電設備システム開発を狙うとある。EVの流れはどんどん進んでいくから追い風か。
6698 ヴィスコ・テクノロジーズ
生産ライン向け外観検査装置の研究開発型企業、画像処理技術に強み。国内3位、専業では首位。
さまざまな検査装置の中で外観検査装置を有する企業で、人材増強に新規開拓も行なっている。国内3位、専業では首位とマーケットシェアも強く付加価値、参入障壁を感じ取れる。業績も良好で今後に期待できる。
7347 マーキュリアホールディングス
投資ファンドを運用。投資対象は国内外の企業やREIT、実物資産。21年7月に持株会社化。
業績は良好で、経営理念に「今は意識されていないけれども、5年後には当たり前になっている、そういった分野に取り組み開発していくことが、当グループの将来を切り開いていくものと考えます。」とあり、中長期的に成長しそうな投資をする=ここの銘柄も成長することが予想されます。
9240 デリバリーコンサルティング
業種を問わず、データ分析や既存システムのDX化など開発を支援。顧客のデジタル人材育成も。
日本のITサービスを変えるテクノロジーコンサルティングがビジネスであり、DX化により追い風。受注を受けきれないほどになっており、人材採用が進めば業績も飛躍的に伸びるのか注目です。
番外編銘柄
ここでは業績の伸びではなく、将来的に伸びそうなちょっとかわった材料を持っている銘柄をピックアップします。
5994 ファインシンター
トヨタ系。粉末冶金部品メーカーで自動車向けが9割。小型油圧機器類、鉄道車両用部品も製造。
業績はコロナ禍の赤字からのV字回復。注目すべきは、新規事業の昆虫食で30年に10億円の売上高を狙うこと。日本は別だが、世界的にみて人口は増加傾向、食料問題は深刻化するばかりで、将来性は意外とあるかもです。
6369 トーヨーカネツ
空港・配送センターなど物流システムが主力、EC向けが拡大。石油、LNGタンク工事も。
業績は安定しており、注目すべきはLNGタンク建設の知見を生かし、大型液化水素タンクの開発を推進していることです。
水素はまだまだブルーオーシャンな分野でもあるため他社よりも先に水素タンクを開発できれば強いです。
6387 サムコ
半導体など電子部品製造装置の研究開発型企業。化合物系の薄膜形成、加工が主軸。アジア注力。
5Gや半導体関連で業績の伸びは○。量子コンピュータなど企業の量子技術研究向け開拓狙う。
現在のコンピューターでは処理速度に限界がみえてくる、そのため量子技術は将来的に発展すると考えられます。
9600 アイネット
DC(データセンター)規模は独立系上位。DC軸に情報処理・システム開発。宇宙関連事業強化.
業績はここ数年一定の黒字をキープしています。この銘柄で注目したいのは宇宙関連事業です。宇宙事業についてはこれまで40年間も携わってきた老舗です。日本の宇宙関連銘柄は現在12社と言われており、今後もマーケットの拡大にアイネットの成長も期待できます。
まとめ
今回四季報を通読して、小型株の中でも競争優位性があり、成長性が感じられるものをピックアップしました。
四季報全体としては、やはり半導体、自動車、ソフト関連、Saasクラウド関連はどこも強かったです。しかし、一時的な需給バランスによる高騰と考えられ、今後も長期的にこの強さが続くかは多少なり疑問が残る分野のため、今回は外しました。
今回の四季報の表紙には日本企業の突破力とあります。今問題視されている金融所得課税の増税、四半期決算の見直しが施行されたら、この突破力は失われてしまいます。
デフレ環境下でこれまで何度も増税してきたが、日本はインフレ目標を達成できていません、失われた30年これが繰り返されるだけです。
増税ばかりではなく日本の経済、企業の真の成長ができる環境を願うばかりです。
参考書籍
今回の記事では以下の書籍を四季報を通読、銘柄分析・選定を行いました。
四季報の読み方、ファンダメンタル分析の基礎を学ぶことができます。
投資とは?労働とは?そして、どのようなビジネスモデルが永続的に強いのかについても学ぶことができ、自分の私生活や仕事にも役立つ1冊となっています。
2040年では少子高齢化、食糧難、DX化、脱炭素社会、さまざまんことが予測されます。20年も先の未来のことで必ずしも当たるとは限りませんが、知っておいて損はない知識がたくさん詰まっています。番外編銘柄を選ぶ際の参考とした本です。
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*この記事は、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でお願いします。
また、投資情報は日々変化するため、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。
投資は自己責任でお願いします。