メ―メ―の株・投資ブログ

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アラサー兼業投資家。長期厳選小型グロース株投資。2019年12月に株式投資を始めるもコロナショックを経験。日本株オンリー、独学で2倍株を3回、3倍株を1回達成。投資に関する思いつきをアウトプットします!

【初心者にもわかる企業分析】6656 インスペック、RD3000はどこに??

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RD3000は売れてるの?受注はどうなってるの?

コロナ禍の影響を受け業績が悪化した6656 インスペック。現在公開されている情報から、RD3000のことも含めて分析します。

本記事の内容

 
2019年にRD3000を発表し、未だに受注情報はなく、2030年には電気自動車や燃料電池車に移行を目指すと政府から発表があったが、今後の成長性はどうなのか?しっかりとみていきます。
 

インスペックとはどんな企業?

 インスペックは1991年6月設立、2006年6月上場の秋田の半導体関連企業です。主な事業は次の3つです。
 

主要3分野の製品戦略

ロールtoロール型検査装置(FPC分野、COF分野)

モバイル機器、ウェアブラル機器などで高成長、ロールtoロール高精度パターン検査で差別化、TABテープ時代からのノウハウの蓄積

インライン検査装置

IoT拡大でマイクロデバイスが急増、製品の高度化によりインライン検査のニーズが拡大、ロールtoロールの連続検査技術によりインライン検査が可能

精密基板検査装置

クラウドサーバーの拡大で高性能CPUが増加、AIのディープラーニング用デバイスが急拡大、最先端のファインパターン検査(AOI)に唯一対応

 

成長戦略

5Gのインパクトは生活の基盤として数十億人にイノベーションをもたらす。

中期戦略

FPCおよびCOF向けロールtoロール型検査装置、ロールtoロールインライン検査システム、精密半導体PKG基板検査システム

中長期戦略

ロールtoロール型シームレスレーザー直描露光機、あらゆる検査ニーズに対応する新検査システム

RD3000を世界初って推してたのに中期ではなく、中長期戦略ですか。すぐに利益につなげるのは難しいってことなのか。

 

RD3000について

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自動車のワイヤーハーネスはFPCへ

自動車のCASE(Connected Autonomous Shared Electric)への取り組みは、加速度的に進歩を続けており、自動車メーカー各社は、自動車の内部配線(ワイヤーハーネス)の急速な増加に伴い高品質で軽量なFPCの採用に取り組んでいる。

この中で、ワイヤーハーネスは乗用車でも長さ6m超の配線が必要と言われており、長尺のFPCをシームレスに露光が可能な機械へのニーズが高まっている。

 

テスラ社の検討

ワイヤーハーネスの総延長はモデルSが3000m、モデル3が1500mあるが、FPC化することで100mとなり大幅な軽量化、品質向上、コストダウンが見込めると報告がある。

決算報告書にテスラの名前が出てくるのは関係があるのかな?

 

RD3000

自動車向け長尺FPC用ロールtoロール型シームレスレーザー直描露光機RD3000を2019年12月に発表してます。連続露光可能なロールtoロール型シームレスレーザー直描露光機(R-LDI)の基本機能の開発が完了したことにより、新たな事業として取り組んでいます。2020年2月から受注を開始し、2021年期に出荷を開始する予定とあるが、未だに受注情報はありません。2020年12月にRD3000量産モデルを発表しています。この新型と工場増設から将来的なニーズがあると考えられるのかもしれません。

 

NEDO戦略的エネルギー技術革新プログラム」の採択

インスペックが採択を受けた「自動車向け省エネルギー効果を産むワイヤーハーネス代替部品の軽量化技術」の開発はRD3000を大幅に進化させ、2023年の上市を目指す。EV、HEV、PHEV、FCVなど今後急速に普及すると予想される自動車の軽量化および人による手作業生産から自動生産へのシフトにより省エネルギーに貢献する。

 

市場予測

自動車向けワイヤーハーネス市場において世界市場規模では5兆7千億円、日本規模では7200億円にもなります。ワイヤーハーネス10%がFPC化すると5700億円、必要な露光機は数百台以上にもなるとのことです。

 

テクニカル・ファンダメンタル分析

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ここまでみてきてインスペックはRD3000が世界初の技術商品で2021年期に出荷予定とあるが2Qを過ぎても受注情報はありません。2023年にはさらに新型を出すのが目標みたいです。大丈夫なのか?と不安が積み重なっていきます。ここでは、他にわかることがないかみていきます。

①売上および利益が成長している

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出典:会社四季報 2020年4集

四季報より2020年4月期はコロナの影響もあり、落ち込んではいますが、来期から回復が見込まれています。特に2022年4月期ではEPSが2倍近くまで上昇しています。利益率の高いものを売らなければこの上昇はできないと考えられます。また、2020年4月から配当を出すようになっていますので、継続的な利益が見込まれています。これらのことから、RD3000の受注が示唆されます。そして、2022年4月期の業績から受注が反映されるのであれば、インスペックのRD3000が中長期戦略の1つという考えにも当てはまると思います。

次に、決算資料をみていきます。

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出典:インスペック 2021年4月期 第2四半期決算短信

ご覧の通り、前年同期と比較すると壊滅的な決算です。決算資料からは、海外案件において現地での受け入れ態勢が整っていないことなどによる納入遅延が発生とあり、これは3Qでも起こりうると考えられます。さらに、緊急事態宣言解除後、停滞していた中国企業向けの商談が再開するなど受注活動が持ち直してきているとあるが、海外渡航がしにくい現在まだまだ厳しいと考えられます。

2021年4月期の業績の進捗率を計算していきます。(×100は省略)

  • 売上高:956÷2400=39.8%
  • 営業利益:56÷170=32.9%
  • 経常利益:42÷130=32.3%
  • 当期純利益:34÷100=34%
  • EPS:9.12÷26.51=34.4%

進捗率をみて壊滅的にも関わらず、下方修正が出されませんでした。これは、RD3000の受注の自信があるということなのか、年内に改めて下方修正のIRを出すのかはわからない状況です。四季報の数値や海外情勢を鑑みると下方修正のリスクは大きいと思います。

また、以前紹介した3449 テクノフレックスも工期遅延や納入遅延により進捗率は低くても最初は業績修正しませんでしたが、後に下方修正を行いましたので、同様にインスペックも行う可能性は考えられます。

me-me-kabu-toushi.hateblo.jp

 

時価総額 

インスペック時価総額は90億2000万円(2020年12月10日)で小型に分類されます。

 

③配当を出している

2020年4月期から出しており、配当利回りは0.11%です。

 

④上場年

2006年6月にマザーズに上場。

 

⑤材料株か?

RD3000はインスペック固有で世界初の技術です。CAN-SLIMでは、驚くような新製品を市場に売り出すことが、企業の成功、ひいては株価の上昇に繋がるとしています。過去の例で言えば、マイクロソフト、グーグル、アップルがあげられます。

CAN-SLIMにつきましては、こちらの書籍で詳しく説明してあります。

 

⑥チャートパターン

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出典:Treading View

2020年はじめにRD3000受注思惑で急騰し、その後は受注もなくコロナショックにより暴落しました。そして、アナリストに取り上げられるたびに上昇するが、受注ないため下落しました。思惑だけでは上がるのにはもう限界があります。受注なければこのまま下落でしょう。最悪の展開はM&AされてRD3000があまり売れもせずに、その技術が他の会社に吸い取られてしまうことだと考えられます。

 

⑦注目度

アナリストに何度も取り上げられるだけあり、注目度はそれなりにあります。ただ、取り上げられる度に楽観的な書き込みが増え、最後は受注なく悲観的な書き込みが増えるの繰り返しが続いています。

 

時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄

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インスペックは現在PER約90倍と高い値にあります。しかし、受注思惑で株価6000円、受注ないため下値を探るような展開になっています。受注の有無で適正株価は上にも下にも評価できてしまう微妙な状態にあります。

続いて、貸借対照表をみていきます。

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出典:インスペック 2021年4月期 第2四半期決算短信

貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。

借入金と現金がほぼ同じです。これは、今の事業を回していくのに約10億円が必要ではないのかと推察できます。RD3000が受注なしでこの状態です。RD3000(1台5000~6000万円)を量産するのであれば、もっと多くの現金が必要になるのではないかと想定されるため、現状すぐには受注、生産となるのは難しいかと考えられます。

資産合計は約36億円、時価総額は約90億円かなり割高に評価されてしまっています。今後は、資産が増えてこの差が埋まるのか、時価総額が減ってしまうのか注目ポイントです。

*追記 2020年12月25日 IR発表

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インスペックシンジケートローン契約締結を発表しました。こちらはRD3000受注増加に伴う運転資金に直結するとあります。さらに、下方修正の発表もなく、量産型の発表および1月のネプコンジャパンに出展されるため、いよいよ受注・生産がみえてきたという印象を受けます。コミットメント期間は1年あり2021年がインスペックにとってよい年になればと思います。

 

⑨PSRによる評価

インスペック時価総額は2020年12月20日では9,020百万円、2021年4月期の予想(下方修正なければ)は売上高は2,400百万円であるので、PSRは以下のようになります。

  • PSR:9,020÷2,400=3.75

よって、PSRに関しては2019年の市場平均が1.1だったため、平均よりは割高と言えます。下方修正あればもっと高くなります。

 

⑩社長が大事

会社のホームページでは今年、新しく更新されました。社長も動画説明やメッセージでしっかりとアピールされています。

 

最後に

ここまでいろいろみてきましたが、RD3000は2021年4月期に出荷を目指すと会社は掲げていますが、実際は海外のコロナ情勢も鑑みるとかなり厳しそうで、四季報でみたように2022年4月期に出荷をされるのではないかと示唆されます。

ただし、長尺のFPCの需要に関しては厳しいのではないかと思います。なぜなら、FPCはなくても現在、電気自動車や燃料電池車は販売されています。今すぐ絶対に必要というものではないのかもしれません。

また、ホームページや報告書類では「インスペックは○○という企業です。」という文言がありません。ユーザーや投資家が初めてインスペックのホームページをみてもなんの会社かわかりにくい感じがします。知っている人がみないと少しわかりにくいと思いました。さらに、財務関係のグラフが二次元や三次元が混ざってあり、ここもみにくいので二次元に統一した方がいいかと思いました。報告書では「当社は(R-LDI)の開発…」とあり()は不要で読みにくくなってしまっています。

細かいとこですが修正をして、RD3000の受注獲得をすれば株価もすごいことになるでしょう。

 

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途中紹介しましたCAN-SLIMという成長株発掘法については、こちらの書籍で詳しく解説してあります。価格は他の書籍と比較すると高いですが、内容も充実しています。

 
公開:2020年12月11日

更新:2021年1月5日

*この記事は、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でお願いします。

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