【初心者にもわかる企業分析】3449 テクノフレックス、上場1年配管メーカーの成長性
この記事では、水道やガス管をはじめとした配管の金属加工技術を用いてさまざまな分野に事業展開する、3449 テクノフレックスについて分析していきたいと思います。
テクノフレックスはどんな企業?
同業他社との比較
テクノフレックスの特徴
継手事業
継手事業はさらにフレキシブル継手、伸縮管継手、真空機器に分類されます。
フレキシブル継手
SDF工法向けにフレキ管を提供し第1回インフラメンテナンス大賞(厚生労働大臣賞)を受賞しています。高度経済成長に作られた水道の老朽化は進む一方で管路更新は進んでいません。2015年で更新が必要な管路は13.6%に対し、更新率は0.74%です。そこで、掘り起こさずに補修ができるSDF工法は期待できる技術です。管路更新の推定市場規模は年間約1兆円と需要も見込めます。
伸縮管継手
石油・化学プラントなどのエネルギー関連、ガス・水道などのライフライン、製鉄プラントなどの大規模産業設備に提供している。地震や熱膨張などの様々な負荷から設備機器と配管を守ります。
真空機器
半導体関連へ提供している。この真空配管は、半導体のみならず様々な分野の工場ラインに設置され、また、医療用の診断装置にも使用されている。
テクノフレックスはマーケットシェアの拡大と新規分野への参入のための新製品の開発、製品ラインナップの拡充を図り、真空機器の更なる業績拡大を目指しています。
防災・工事事業
防災・工事事業はさらに消防設備の配管工事、貯水機能付給水装置、水道管および電柱の切断装置に分類されます。
消防設備の配管工事
この分野では、スプリンクラーなどの消火設備の配管工事を行っており、この工事は3Qではもともと東京オリンピックの交通渋滞緩和のため工事を控える動きがありました。オリンピック中止になってっも工事は増えませんでした。個人的には来年もオリンピックによる影響のでる可能性はまだあると考えています。
日本のスプリンクラー設置率は米国と比較すると米国と比較するとまだまだ少なく潜在的なニーズはあると考えられます。
貯水機能付給水装置
配管に貯水という付加価値をつけた貯水機能付給水管装置(マルチアクア)を提供しています。災害などによる断水時に水の供給を確保します。これは、従来のペットボトルによる水の備蓄を必要としないため、水の使用期限を気にすることもなく、ペットボトル水の買い替えも必要ない、エコで便利な製品です。また、国土強靭化計画にも該当します。
水道管および電柱の切断装置
東京都が推奨する無電柱化に貢献しています。東京都の無電柱化率は2017年で5%未満とまだまだ需要が見込まれる分野です。
自動車ロボット事業
日本の大手ロボット業者4社と取引をし、多くの自動車メーカーで使用されています。
介護事業
コロナ禍でもレンタル事業は堅調に推移。福祉用具の販売および介護用住宅改修は、コロナ禍での個人住宅訪問が難しく、苦戦が続いています。
テクニカル・ファンダメンタル分析
上記のことを踏まえて、ここから以下の記事の方法によりテクニカル・ファンダメンタル分析をみていきます。
①売上および利益が成長している
2020年4集の四季報の数値からは売上および利益は増加傾向にあります。2019年では中国経済の影響を受け、売上、営業利益、経常利益が減少しています。2020年3Qでは通期進捗率は、売上69.4%、営業利益58.0%、当期純利益51.4%とあり、通期では下方修正の可能性も考えられます。記事公開後、下方修正の発表がありました。その場合、2年連続、減収・減益という厳しい状況にもなりそうです。
四季報の予想値を参考にした場合、売上は21800÷18692=約1.16倍、1株益は112.4÷99.6=約1.12倍と微成長が見込まれます。インフラ関連であり、人材不足もあり急激な成長は難しい分野なのかもしれません。
②時価総額が小さい
2020年8月17日では23,816百万円でした。11月24日では24,628百万円で小型に分類されます。
③配当を出している
上場前より配当を出しており、予想配当利回り3.59%です。結構高めなので機関か何かの要因によって株価を抑えられてるような印象を受けます。
④上場10年以内
2001年10月24日設立で、2019年12月10日に東証二部上場とかなり若い会社といえます。
⑤材料株か?
マルチアクアは国土強靭化、半導体は5G関連と材料はある。
⑥チャートパターン
上場1年のため週足でみていきます。コロナショックで一時は600円近くまで下落もその後は、1500円まで上昇し、2020年11月24日では1153円です。公開価格は900円だったので、この1年で株価は上下変動こそあったがあまり変化はなかったと言えます。通期の進捗率も怪しいのでしばらくはこの価格帯を上下すると思われます。
⑦注目度が低い銘柄
⑧時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄
テクノフレックスは四季報の数値から、売上および1株益の5年成長率が約1.1倍なので、この1年間の株価の変動も妥当なものだと考えられます。また予想PERは2020年12月で11.3、2021年12月で10.2と割安な予想にあります。予想EPSは20年12月で101.5円、21年12月で112.4円となっているため、PERは15倍に回帰するという考えのもと適正株価を計算すると以下のようになります。
- 20年12月:101.5×15=1218円
- 21年12月:112.4×15=1686円
このように適正株価を計算した場合、現在の株価1153円(2020年11月24日時点)はやや割安にあると言えます。
貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。
資産を全体をみると負債が少なく健全な経営と捉えることができます。現金は割合的に少ないですが、インフラ関係の企業のため土地や機械など有形固定資産の割合が大きくなります。資産合計は約260億、時価総額は約246億とあまり差がなく、資産評価の点では株価は妥当と言えるでしょう。
2020年7月にベトナム新工場が完成し、2021年7月に新潟工場が拡張されます。今は積極的に事業投資を行っているので、これらが収益を生み出すようになれば変化が現れると予想できます。
⑨PSRによる評価
テクノフレックスの時価総額は2020年11月24日では24,628百万円、2020年12月期の予想は売上高は20,800百万円であるので、PSRは以下のようになります。
- PSR:24,628÷20,800=1.18
よって、PSRに関しては昨年の市場平均と同等と考えられます。
⑩社長が大事
会社のホームページの代表メッセージでは社長の写真が何度も出てくるのが強いインパクトを受けます。しかし、株主・投資家の皆様へのページでは、「2019年に上場〜感謝申し上げます。」とあり、1年前の出来事を書くよりも、コロナ禍や社会環境に応じたメッセージを書かれた方がいいかなと思いました。
また、上場記者会見では、中国やベトナムなどの海外での販売比率は6%であり、現地での品質に対する要求はまだ高くないとのこと。5〜10年経つと状況が変わってくるとみており、品質の重要性が脚光を浴びる時に販売を強化したいとのこと。そのようになれば株価上昇の追い風になる可能性も考えられます。
最後に
ここまでテクノフレックスについていろいろ分析しました。今の株価については個人的に適正~やや割安にあるのではないかと感じます。インフラ関連企業のため、潜在的ニーズがあり、業績に関しては多少の上下変動はありますが、一定水準を保てるのではないのかと思います。
チャート的にはこの1年コロナショックもありましたが、いまはコロナ前とほとんど変わっていません。配当もあるのである意味では金より安定した資産ではないのかとも言えます。
上場後まだ1年で、同時期にIPOしたメドレーやフリーはすごい上昇しています。テクノフレックスは通期で下方修正のリスクがあり、記事公開後に下方修正の発表があり、暴騰させるような材料はみられませんが、四季報予想のような業績の伸びと共に株価も上昇してもらえたらと思います。
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公開:2020年11月26日
更新:2021年1月5日
続きを読む【初心者にもわかる企業分析】4251 恵和、Appleのサプライヤーチェーン
この記事では、今年のはじめに5G関連で急騰後下落し、最近では東証一部昇格の可能性やAppleのサプライヤーチェーンとして知られる高機能フィルムメーカーの4251 恵和について分析していきたいと思います。
- 恵和はどんな企業?
- 同業他社との比較
- KYOZINについて
- Apple Clean Energy Program
- クリーンエネルギー
- 一部昇格か?
- テクニカル・ファンダメンタル分析
- 今後の成長性
恵和はどんな企業
同業他社との比較
KYOZINについて
Apple Clean Energy Program
クリーンエネルギー
機能製品事業における「クリーンエネルギー資材」の一例として、東京オリンピック・パラリンピックに向けて開発される燃料電池車の電池のガスケットが発行体の製品を基に作られ、2020年7月より量産出荷をしています。
そして、この燃料電池車に関することも経済産業省の概算要求において次世代自動車の普及促進とあり、この分野も国策として支援される可能性があります。
Apple Clean Energy Program、燃料電池車より恵和はある意味で環境関連銘柄とも捉えることができます。そして、令和3年度に国策としても見直されれば、フィルム関連および環境関連として投資妙味は出てくるのではないでしょうか。
一部昇格か?
恵和は大和証券の東証一部昇格予想銘柄のなかで最高のトータルスコア6を獲得しています。また、以下に示す東証一部昇格基準を満たしています。
- 株主数:2,200人以上
- 時価総額:40億円以上
- 流通株式数:2万単位以上
- 流通株式比率:35%以上
- 流通株式:20億円以上
ただし、これらの条件を満たしていても昇格前によくみられる優待新設、立会外分売、株式分割がみられないので一部昇格はまだまだ先のことだと考えられます。
*11月27日に東証一部昇格のIR発表がありました。
テクニカル・ファンダメンタル分析
上記のことを踏まえて、ここから以下の記事の方法によりテクニカル・ファンダメンタル分析をみていきます。
①売上および利益が成長している
四季報の数値からわかるように売上および利益は増加傾向にあります。ただし、2020年12月期の決算ではコロナ禍の影響により、売上およびEPSは一時的に下がります。また、3Qの決算から進捗率を計算する(×100は省略)と以下のようになります。
- 売上高:10879÷15141=71.8%
- 営業利益:853÷1025=83.2%
- 経常利益:808÷992=81.5%
- 当期純利益:677÷761=88.9%
このように3Qにしてかなり進行していると考えられます。そして、2020年12月期では会社四季報と会社予想を比較すると利益にかなりの差があります。これらのことから、本決算においても上方修正が予想されます。
2021年の予想値と2017年の数値を比較すると売上は15800÷14558=約1.08倍、1株益は124.8÷38.2=約3.26倍と順調な成長が見込まれ、利益率の高い事業が伸びていると思われます。2021年12月期では2020年と比較して売上の回復、利益の続伸が予想されるため、今後の材料にも期待が持てます。
②時価総額が小さい
2020年8月21日では10,063百万円でした。11月19日では11,097百万円でまだまだ小型に分類されます。
③配当を出している
上場前より配当を出しており、予想配当利回り0.78%です。
④上場10年以内
1948年9月28日設立で、2019年10月30日に東証二部上場とかなり若い会社といえます。
⑤材料株か?
一時は5G関連として、一時はコロナ禍のリモートワーク関連として取り上げられました。今後も光学シートの需要は引き続くと思われます。また、コンクリートの絆創膏にApple、クリーンエネルギーと様々なことが予想されます。
⑥チャートパターン
いつもは月足で中長期的に評価していますが、上場1年のため今回は週足でみていきます。
2020年1月に1度急騰し、コロナも相まって急落しています。その後、底値形成のようなレンジ相場になっています。材料次第でまだまだトレンドが変わる可能性もあると思われます。
⑦注目度が低い銘柄
⑧時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄
四季報から恵和に関しては、業績の続伸、配当の継続があります。自己資本比率、ROE、ROAは充分な値にあります。そして年々売上および利益を伸ばし、配当もありますが株価はレンジ相場にあります。また、四季報では新刊が出るたびに恵和の予想は改善されているので、徐々に見直しが入る可能性もあります。
予想PERは2020年12月で10.9、2021年12月で10.3と割安な予想にあります。予想EPSは20年12月で118.6円、21年12月で124.8円となっているため、PERは15倍に回帰するという考えのもと適正株価を計算すると以下のようになります。
- 20年12月:118.6×15=1779円
- 21年12月:124.8×15=1872円
このように適正株価を計算した場合、現在の株価1385円(2020年11月19日時点)は割安にあると言えます。ただし、過去の最高値は2967円であり、材料次第ではまだ株価急騰の可能性もあると考えられます。
続いて、2020年12月期 第3四半期決算短信から貸借対照表を分析していきます。
貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。
負債が資産の半分以上を占めますが、自己資本比率は30%を超え平均的な値です。また、上場調達資金の一部を設備新設に変更していますので、負債が多くかつ土地の割合が多くなるのも納得できます。そして、新しい設備を作ることは将来的に新しい利益を生み出すことにもつながります。
ROEは予想で18.0%、ROAは予想で6.4%と財務的にも問題はないと思われます。しかし、資産合計は約153億円に対し時価総額は約110億円なので割安にあると言え、株価の上昇余地はここからもみえます。
⑨PSRによる評価
恵和の時価総額は2020年11月19日では11,097百万円、2020年12月期の予想は売上高は15,100百万円であるので、PSRは以下のようになります。
- PSR:11,097÷15,100=0.73
よって、PSRに関してはやや割安と考えられます。
⑩社長が大事
会社のホームページから社長の写真もカメラマンに取ってもらったものが選ばれています。代表のメッセージを読んだ「ダイナミックドメイン」という言葉を作っているのが印象的で熱い方だと思います。そして、2度にわたる石油ショック、バブル崩壊を乗り越えた経営力はこのコロナ禍でも発揮されるのではないかと思います。
光拡散フィルムも随一の実績があり、世界各国に関連企業もあるので今後の活躍が期待できます。
今後の成長性
成長戦略に関しては上場記者会見の際に社長がいろいろと述べていました。
まず、強みを生かせる分野に集中していくことと、構造物への絆創膏は凄いビジネスになると述べていました。まだ、NETISに登録した段階なので、期待が持てます。また、日本ならではのアドバンテージを活かした光学ビジネスでトップを走り、世界中の顧客の認知度を高めることで、高い信用が要求されるインフラビジネスの突破口としたいともありました。
定量的な目標では、事業を整理しながらあるタイミングで増収増益にしていきたいとあり、昨今のコロナ禍によりこのことはかなり進んだのではないかと考えられます。
経営戦略は、強みであるサプライチェーン全体に入り込んで顧客ニーズを把握する「ウルトラプレシジョンマーケティング」を用い、顧客のさらに先の顧客へと一気通貫でビジネスを提供することで、全体の動向がある程度見え、サプライチェーンの中の本来のボスが誰か分かります。そして、その人とコンタクトすることで、ミッションとしてなすべきことが明確になり、他社に先行した開発テーマの獲得につながるとも述べています。この戦略の1つがApple Clean Energy Programの参加だと考えられます。これもまだ始まったばかりのことなので、成長に期待が持てます。
このように、この1年を振り返ってみると恵和の絆創膏やAppleなどの計画はまだまだ始まったばかりだと感じられます。今後、新技術や企業の堅調な成長があるのではないかと思います。
最後に
今回は、恵和に関する様々な材料を検証し充分に期待できるものだと思いました(一部昇格に関してはまだ先だと個人的には思います→*11月27日に東証一部昇格のIR発表がありました。)。そして、株価はいろいろと計算しまして割安にあると感じました。上場1年という成長性×材料×割安がこの先のニューノーマルにおいてレンジトレンドを抜けて新たな相場を作ると面白いのではないかと思いました。
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公開:2020年11月20日
更新:2021年1月5日
続きを読む【初心者にもわかる企業分析】4486 ユナイトアンドグロウ、デジタル庁創設・DX推進による今後の成長性
今回の記事では、シェアードエンジニアリングという独特の基幹技術を用いて、中堅・中小企業に対しIT関係の事業展開を行う4486 ユナイトアンドグロウについて分析していきます。
ユナイトアンドグロウはどんな企業?
IT業界の将来性
①国内および世界のトップ産業がIT業界
②様々な業界でITの需要が増加
③IT人材の需要が年々増加
IT業界の課題
①IT人材の不足
②SEの長時間労働
中小企業のデジタル化
①デジタル化への関心高い
従業員数300人以上3000人未満の中堅企業では、推進・着手ずみが56%、従業員数300人未満の中小企業では34%となっている。一方で、検討意向を示している中堅企業は35%、中小企業は43%とDXへの関心は高まっている。
ユナイトアンドグロウは、従業員数50〜300人未満、300〜1000人未満の企業がターゲットであり、今後の需要は高まると考えられる。
②課題は山積み
デジタル庁とは?その影響
①デジタル庁とは?
②その影響
テクニカル・ファンダメンタル分析
①売上および利益が成長している
四季報の数値からわかるように2016年から2021年まで経営は続伸する予測です。EPSも2020.12は減少しますが、2021.12には大幅に増加します。このことから、中長期的にはなりますが2021年の経営と株価には期待がもてます。また、2021年の予想値と2017年の数値を比較すると売上は2200÷1175=約1.9倍、純利益は200÷67=約3倍と順調な成長が見込まれます。
②時価総額が小さい
③配当を出している
④上場10年以内
2005年2月23日設立で、2019年12月18日にマザーズ上場とかなり若い会社といえます。
⑤材料株か?
昨今のコロナ禍の中、デジタル庁創設が計画され、DX推進の波が押しよせています。そうした社会環境とIT人材の不足が予測されているため、今後ますますユナイトアンドグロウのサービスに対するニーズが高まると考えられます。
⑥チャートパターン
⑦注目度が低い銘柄
⑧時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄
四季報からユナイトアンドグロウに関しては、予想PERは31倍と市場平均と比較するとかなり低い値にあります。そして年々売上および利益を伸ばし、配当もありますが株価は最近底打ち上昇してきました。
また、2020年10月マザーズ情報通信業の平均PERは239.1倍であり、予想EPSは20年12月で43.9円、21年12月で54.9円となっているため、現在の平均PERをもとにすると適正株価は以下のようになります。
- 20年12月:43.9×239.1=10496円
- 21年12月:54.9×239.1=13126円
このように市場平均をもとに適正株価を計算した場合、現在の1000円代はかなり割安にあると言えます。ただし、必ずこの株価まで上昇するというよりも今のEPSに対して割安にあるともこの計算から評価できます。
続いて、2020年12月期 第3四半期決算短信から貸借対照表を分析していきます。
貸借対照表から上記のような図が描けます。左側は流動資産、固定資産とその他を記載し、右側は純資産と負債を記載しています。
このことから、ユナイトアンドグロウは資産のほとんどは現金として持っており、有利子負債は10,067千円で余剰資金を多く持っている印象です。
仮に、事業を回すのに販売管理費の約4億がかかった場合、余剰資金は約10億円です。これだけの資金があれば事業展開、この会社の目標であるシェアード社員の増員も充分に行えると考えられます。
⑨PSRによる評価
ユナイトアンドグロウの時価総額は2020年11月13日では4052百万円、2020年12月期の予想は売上高は1850百万円であるので、PSRは以下のようになります。
- PSR:4052÷1850=2.19
よって、PSRに関しては割高でも割安でもないと考えられます。
⑩社長が大事
会社のホームページから社長の写真もカメラマンに取ってもらったものが選ばれています。代表のメッセージを読んだ第一印象はとにかく熱い方だと思います。IR TVも出されて決算の説明、今後の事業展開もわかりやすいのがいいです。
また、IRが適度に発信され、株式分割や増配など株主のことも意識され経営されているのが感じられます。
最後に
今回は、IT業界のことから説明し、IT人材の不足が起きていること、デジタル庁創設やDX推進のこと、そして、多くの余剰資金を持つユナイトアンドグロウは今後のシェアード社員増加や事業展開が見込まれます。
ただし、ゲームやバイオ銘柄ではないので急騰はあまり期待できないと考えられるため、中長期的にみていければと思います。
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公開:2020年11月14日
更新:2021年1月5日
続きを読む【初心者にもわかる企業分析】4395 アクリート,SMSのパイオニア
今回の記事では、SMSの配信事業を手がけるアクリートについて分析していきます。
アクリートはどんな企業?
アクリートはHPより「日本におけるSMS配信事業のパイオニア」であり、「世界が認める、グローバル品質と信頼性」のSMS配信サービスを提供する企業向けSMS配信マーケットのリーディングカンパニーとあります。
SMS市場シェアNo.1であり、主なサービスはSMSコネクト、SMSコネクト(双方向)、IVR認証/IVR連携を提供しています。
これまで、LINE、グリー、ミクシィ、食べログの課題解決に取り組んだ実績もあります。
アクリートの経営、成長性
まずは四季報と月足チャートをチェックしていきます。
四季報の数値から毎年売上、利益も伸び続けていますが、チャートは逆に下落しています。そして2020年9月には大きく陽線が出現して底打ちのように見られます。また、2020年12月期より配当も出るため、今後の株価上昇の要因の1つになると考えられます。
さらに、2020年以降のA2P-SMS市場の見通しは、2023年までのSMSの配信数は年平均40%以上で成長し、新規利用法人数は年30%増と予測されています。5Gサービスも事業拡大に影響すると考えられます。
同業他社と比較すると時価総額が低いこと、中長期成長では新事業領域への取り組みもあることから、今後の成長が期待できます。
10の法則で分析
こちらの記事で10倍株、2倍株をみつける分析について説明しています。
この方法に従ってここから徹底的にみていきます。
①売上および利益が成長している
四季報の数値からわかるように2016年から2021年まで経営は続伸する予測です。EPSが持続的に成長しているのもいい点です。また、売上は1620÷351=約4.6倍、純利益は220÷15=約14.6倍ととてつもない成長が見込まれています。
2020年12月の予想PERは25倍で、2020年10月マザーズ情報通信業の平均PERは239.1倍と比較するとかなり低い値であり、割安にあると言えます。
②時価総額が小さい
2020年8月15日では4287百万円でした。11月10日では6038百万円でまだまだ小型株です。
③配当を出している
2020年12月より配当がでます。2021年は増配も予想されます。
予想配当利回りは1.17%と小さい点がいいです。
④上場10年以内
2014年5月1日設立で、2018年7月26日にマザーズ上場とかなり若い会社といえます。
⑤材料株か?
アクリートの事業は企業から個人向けのSMS配信代行サービス展開、認証用途が多く国内もITサービス系中心に二段階認証用途が拡大している。リモートワークやより強固なセキュリティ対策が求められる社会では必要な技術である。
⑥チャートパターン
今のチャートパターンは横ばいから少し上昇に向いている。このまま上昇し、上場後高値の1929円を超えていけば高値節目抜け型になり青天井になる可能性も。ただし、過去の高値が抵抗ラインとなり株価が上下することは想定されます。
⑦注目度が低い銘柄
TwitterやYahooファイナンス掲示板での書き込みは少なく、アナリストレポートもないため、注目度は低いと言えます。
⑧時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄
まずアクリートに関しては、予想PERは25倍と市場平均と比較するとかなり低い値にあります。そして年々売上および利益を伸ばし、配当もあるのにも関わらず株価は下落、横ばいと放置されています。
また、2020年10月マザーズ情報通信業の平均PERは239.1倍であり、予想EPSは20年12月で34.1円、21年12月で39.5円となっているため、現在の平均PERをもとにすると適正株価は以下のようになります。
- 20年12月:34.1×239.1=8153円
- 21年12月:39.5×239.1=9444円
このように市場平均をもとに適正株価を計算した場合、現在の1000円代はかなり割安にあると言えます。ただし、この価格まで上がるには材料はもちろんのこと事業展開や長い時間も必要になると考えられます。
また、必ずこの株価まで上昇するというよりも今のEPSに対して割安にあるともこの計算から捉えることができます。
⑨PSRによる評価
アクリートの時価総額は2020年11月10日では6038百万円、2020年12月期の予想は売上高は1650百万円であるので、PSRは以下のようになります。
- PSR:6038÷1650=3.65
よって、PSRに関しては割高でも割安でもないと考えられます。
⑩社長が大事
会社のホームページから社長の写真もカメラマンに取ってもらったものが選ばれ、会社のメッセージも社会環境に適してたものに更新されています。そして、「アクリートは第二創業期へ」という言葉は今後いい変化があるのではと思われます。
また、配当を出すのはもちろんのこと、IRが適度に発信されているので株主のことも思い経営されているのだと感じられます。
なので、株主も安心して出資・応援できます。
以上より、アクリートは2018年上場の若い企業で社会環境の変化に適した今後の成長が期待できます。
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最後に
この記事は、投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でお願いします。
また、投資情報は日々変化するため、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。
投資は自己責任でお願いします。
公開:2020年11月10日
更新:2021年1月5日
【必読】10倍株、2倍株をみつける10の法則
今回の記事では、投資歴1年未満の僕が実際に2倍株を見つけた方法を解説していきます。10倍株、2倍株の要件は様々なことが言われており、その中でも以下10の法則が重要と考えています。
1. 売上および利益が成長している
はじめに、会社四季報や株探などを使用しながら過去3年(できたら過去5年)の推移をみて、売上および利益が毎年増加傾向にある企業を選びます。また、当期以降も成長があることも確認します。現在は、コロナ禍であり業績に及ぼす影響も確認します。
そして、売上の伸び<利益の伸びの成長を示し、利益率の高い経営ができているか評価します。さらに、EPSが持続的に成長していることも成長株の重要な評価項目です。
2. 時価総額が小さい
投資対象とする時価総額は20〜50億円の銘柄にします。なぜなら、この価格帯は株価の上昇余地が大きい点、さらに、過去に10倍株を達成した銘柄の多くもこの時価総額にあったと考えられているからです。
ただし、地合によって時価総額は変化します。気になる銘柄が見つからない場合は100億まで投資対象を引き上げて銘柄を探すのもよいでしょう。
3. 配当を出している
配当を出す企業を投資対象にします。特に配当利回りは2%未満、できたら1%前後の企業にします。
この配当利回りを選ぶ理由は、2%を超えている場合は大手機関によって何らかの理由により株価の上昇を抑えられている可能性があるからです。この場合株価の成長は厳しくなります。
また、2%未満であるなら無配の企業も投資対象になるのではと考えられますが、無配の場合は株主に対する熱量や思いというのは配当ある企業と比較すると小さくなってしまいますので、投資対象から外します。
4. 上場10年以内
創業ではなく上場10年以内の企業を選びます。これは単純に若い会社には成長力があるからです。
一方で、大手と言われるまで成長した企業が、さらに急成長するのは難しいと考えられます。
5. 材料株か?
投資対象が、コロナ関連、5G関連、デジタル庁関連などのテーマ性があり、かつ日々の社会環境の変化に対応していける企業を選びます。
そして、浮動株が充分にあり、貸借銘柄でもあり、株価に流動性があることを確認します。
また、各企業のIRで株式分割や増資もしくは自社株買いの有無についても確認する必要があります。
6. チャートパターン
月足で以下のチャートパターンであるか確認します。
①急騰即乗り型
②高値節目抜け型
③長期横ばい急騰型
7. 注目度が低い銘柄
注目度が低いとは、TwitterやYahoo!ファイナンスにおいて書き込みが少ないことやアナリストレポートが少ないことをいいます。
また、逆張りのようになりますが、株探やニュースでもあまり取り上げられず周りが総悲観してる中で買うことで安く仕込むことができます。
8. 時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄
時価総額と企業本来の価格に解離がある銘柄とは、言い換えれば割安株投資のことです。
まずは、PERの視点から説明します。PERの標準はおおむね「15倍」と言われており高くても低くてもここに戻ると考えられているので、上述の1.で説明したように堅調に成長しているにも関わらず低PERで放置されている企業が投資対象になります。ただし、現在のPERは高いものから低いものまで様々ありますので、同市場同業種の平均値も参考にするとよいでしょう。
そして、企業本来の価格(適正株価)については、次の計算式を用います。
この計算式では将来PERが平均的な値に戻る性質を利用しています。
これにより、予想株価を求め、現在の株価が割安かどうかを評価します。
また、既に成長している同業他社と比較することで、投資対象としている企業の成長がどの段階に相当するのかという見当をつけることもできます。比較する企業が日本になければ外国株に目を向けるのも方法の1つです。
最終的には、投資対象である企業の経営方針や事業モデルも加味して適正株価を予想するとよいでしょう。
9. PSRによる評価
PSRは株価売上高倍率とも言います。以下の計算式を使います。
IT系の企業やスタートアップ企業では赤字も多く、PERなど利益をもとにした指標は評価できません。また、最近のPERは100倍を超えることも珍しくなく、以前よりも評価が難しくなっています。そこで、売上で評価するPSRが使用されるようになってきました。
PSRは20倍以上だと割高、0.5倍以下なら割安とされています。また、2019年の企業PSRの平均値は1.1倍でした。
10. 社長が大事
企業では、全ての事業戦略、財務戦略、投資決定、社員の成長性は社長のセンス・カリスマ性に依存しています。そのため、企業を見るときはトップがどのような人物か確認する必要があります。
社長の経歴は有価証券報告書やネットで調べれば分かります。企業のホームページを見れば社長のメッセージや決算説明の動画を見ることができます。この時の注意点としては、社長の写真はプロのカメラマンに撮ってもらったものか、メッセージは社長自ら書き適度に更新されているかを確認します。
なぜなら、社長の紹介ページは株主が必ずチェックするとこであり、社長の本気度もわかるとこだからです。本気度が伝わってこない企業は、株主に対する意識や株価対策も弱いので残念ですが、投資対象から外します。
最後に
投資歴1年未満の僕でも上述の方法で2倍株を見つけることができました。
最初からこの10の法則にあてはまる企業はなかなか見つかりませんので、8個ぐらい該当する企業を打診買いしながら精査していくとよいでしょう。
投資では当然のことではありますが、個人の資金量、性格、ライフスタイルなどで適した戦略は変わってきますので、この方法は1つの参考として、投資は自己責任のもと行ってもらえたらと思います。
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公開:2020年11月7日
更新:2021年1月5日
株式投資ファンダメンタル分析のすすめ③~ROE・ROAのとらえ方~
株価指標ではありませんが、株式投資でよく企業の経営指標の1つとして用いられるので、しっかりとポイントをおさえましょう。
ROEとは?
ROEは「Return On Equality」の略であり、「自己資本当期純利益率」といいます。決算短信や有価証券報告書などでは「自己資本利益率」と略されている場合もあります。
ROEは株主の所有分である自己資本を元手に、どれくらいの利益を稼ぐことができているかを評価するものです。
自己資本は、貸借対照表純資産の部の「株主資本+その他の包括利益累計額」で計算できます。
企業の収益力を利益の金額だけで判断する場合、規模の大きい企業のほうが規模の小さい企業より高いと収益力が高いと判断されかねません。そこで、「自己資本に対する当期純利益の割合」を使い企業規模に関わらずに収益力を評価できるのがROEです!
ROEは高い方がよい
ROEは高ければ収益力の高い優良な企業、低ければ収益力の劣る企業という評価がされます。一般的にROEが10%以上であれば収益力が高いと言えます。そして、ROEが高ければ将来の収益力があるため、企業価値向上による株価上昇も期待できます。
したがって、ROEが高いにも関わらず株価が低い、つまり収益力が高いことが正当に株価に反映されていない企業を探すのがよいでしょう。その際、ROEだけでなくPERも併用して考えるようにしましょう。
なぜなら、ROEは企業の収益性を示す指標ですが、株価を考慮して計算されていないからです。
ROEは、割安株を探すときよりも成長株を探すときに活用します。
ROAとは?
ROAは「Return On Assets」の略であり、「総資産利益率」といいます。ROAは総資産に対して、どのくらいの割合の当期純利益を得ているかを表した指標です。ROAは5%以上であれば優良と言われています。また、ROAは有価証券報告書にはのっていないので、計算して求めるか、四季報を参考にします。
ROAは売上高利益率と総資産回転率から構成されています。よって、ROAを大きくするには、これらを上げればよいことになります。
売上高利益率(=当期純利益÷売上高)は、利益率のことであり、売上高に占める利益の割合がどれくらいかを表しています。数値が高いほど、収益力が高いです。
総資産回転率(=売上高÷総資産)は、売上高が総資産の何倍かを表しており、その売上を上げるために、総資産を何回転させてたかとも考えられます。数値が高いほど資産を効率的に活用できています。
もし、総資産回転率あるいは売上高利益率が年々低下している企業があれば、やがてROAの低下、つまり収益力の低下につながります。
ROEやROAが上昇傾向、もしくは高水準を維持している企業でなければ、長期的成長は見込みづらいです。長期成長企業を探す場合、ROEやROA、そしてROAの構成要素である売上高利益率や総資産回転率の推移には注意しましょう。
成長株の投資ポイント
ここまでROEとROAについて述べてきたことから、投資対象とすべき「成長株」のポイントとして以下の4つがあげられます。
- 高成長:売上高や利益が年々増加(過去3~5年は堅調に推移)
- 高収益力:ROE10%以上、ROA5%以上をキープしている
- 将来の成長余地:売上高や総資産がまだ大きくない(適正価格を計算)
- 株価の上昇余地:株価がまだ大きく上昇していない(時価総額、チャートをチェック)
1.〜4.より、売上高や利益が年々増加し、ROEが高い企業であることはもちろんのこと、売上高がまだ小さく、株価もそこまで大きく上昇していないものが望ましいです。
つまり、高成長の初期段階にあり、企業規模がまだ小さいたいめ成長余地が大きく、投資家からの注目度も低いたいめに株価が大きく上昇していない企業です。
また、PERを併用した適正価格の計算方法はこちらの記事で説明しています。
レバレッジ経営を見極めろ!
レバレッジ経営とは、金融機関などから多額の借り入れを行い、積極的な事業展開により多額の利益を獲得しようとする経営のことです。
この方法は、借入金の返済や利息の支払いに困らないほどの利益を上げていれば問題はありません。しかし、事業が失敗するなどして利益が小さくなったり赤字になった場合、借入金の返済や利払いが困難になり、最悪の場合倒産の恐れもあります。
このレバレッジ経営のの見極めに有効なのが、ROEとROAの差を比較することです。
極端なレバレッジ経営をしていなければ、ROEとROAの差は通常2〜3倍程度です。
上の表から、ビッグカメラとファーマーフーズのROE・ROAに大きな差はありません。しかし、アミタホールデイングは約11倍の差があり、自己資本比率は15.9%、有利子負債は約16億円もあります。また、ウィルグループでは約10倍の差があり、自己資本比率12.9%、有利子負債は約96億円もあります。
このようにレバレッジ経営をしている企業は、ROEが高く、自己資本比率が小さくなる傾向にあります。リスクを取り、積極的に借り入れをし、より大きな利益を狙っている背景があります。
事業が今後も堅調に推移すれば株価の上昇も期待できますが、事業に失敗した場合は、倒産の可能性も伴うハイリスク・ハイリターンな手法がレバレッジ経営です。
株式投資では過大なリスクを避けたい場合は、レバレッジ経営をしている企業は投資対象から外すのもよいでしょう。
バフェット流投資
バフェットの投資判断基準は、PER15倍以下、ROE12%以上、売上高純利益率10%以上と考えられます。
ROEに関して「投資の際に最も重要視する指標だ」と言ってます。投資家が出資した企業が、預かった資産をどのくらい効率的に活用し利益を生み出しているかを表す指標のため、重要視されています。
以上のように、ROE・ROAは株価について評価できませんが、企業の収益力を評価でき、将来の成長性の判断材料として活用できます!
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株式投資ファンダメンタル分析のすすめシリーズとして、下記の記事を読むことで①PER ②PBRについてより深く勉強できます。
株式投資ファンダメンタル分析のすすめ②~PBRのとらえ方~
今回はファンダメンタル分析からPBRについて説明していきます。
PERに加えて企業価値を評価する重要な指標の1つです。
PERはこちらの記事で解説してます。
PBRとは?
PERが「利益」から株価水準を測るのに対して、企業の「資産」から測るのが、PBR(株価純資産倍率)です。
株価を1株あたりの純資産で割って求めます。純資産とは、会社の総資産から負債を引いたもので、純粋に会社が持っている資産のことです。
そして、PBRは会社が解散した場合の株主が受け取れる資産の割合を示す数字でもあります。PBRが1倍なら、株価と同じ資産を受け取れることになり、この数値が高いほど割高になります。逆にPBRが1倍未満なら割安ということになります!
特に、赤字企業ではPERは評価できないので、PBRによて割安かどうか評価することになります。
PBR1倍以下は買い時か?
PBRが1倍割れの理由については次のことが考えられます。
①赤字の企業
②優良企業だが一時的に株価が下がっている
まず、赤字の企業もしくはそうなりそうな企業ですが、純資産がどんどん減っていきます。よって、今の純資産をもとに計算したPBRは全く参考にならず、たとえPBRが1倍割れていても買い時ではないので要注意です。
ただし、赤字企業でも材料やテーマ性があれば株価は上昇します。ここの見極めもとても重要なので、IRやニュースチェックは必須です。
また、将来の見通しが良い優良企業だが、一時的に調子が落ちていたり、コロナショックのような暴落で株価が下がった時にPBR1倍割れている場合は、買いのチャンスです!この場合は、PBRが1倍の価格に戻ることが期待でき、さらに上昇する可能性もあります。
PBR1倍は底値メド
PBRを計算する時の「1株純資産」は帳簿にのっている現預金や不動産から計算した金額ですが、優れた経営であれば、これらに加えてノウハウ、技術やブランド力といった帳簿にのっていない価値も蓄えられます。よって通常は、会社の価値は純資産以上になるはずであり、PBRは1倍以上の状態になります。
そして、日本を代表するような優良企業で注目度も高い銘柄であれば、PBR1倍近くまで下がる場合、底値と考えて株を買う投資家が多いと考えられています。
PERとPBRの違い
PERは、今期獲得するであろう当期純利益の額と株価を比較して株価の割高・割安を判断する「フロー」の指標です。
一方、PBRは、すでに現時点で企業に存在する純資産の額を企業価値ととらえ、これと株価を比較して割安か判断する「ストック」の指標です。
つまり、PERは、これから企業が獲得する企業価値と株価の比較であるのに対し、PBRはすでに企業が持っている企業価値と株価の比較をするものです。
利益の変動が激しい企業のPERは大きく上下に動きやすく、年によって、PERが5倍や100倍になります。また、利益の額が非常に小さいと分母が小さくなり、PERが非常に高くなることもあります。さらに、赤字の企業では、PERの計算はできません。そのため、業績が安定して毎年黒字を計上している企業でなければPERによる適切な株価評価は難しいです。
このような場合に、ストック面からみた時点での企業価値と株価を比較した指標であるPBRを使います!そして、上述した点に注意しながら、PBR1倍の水準まで株価が下がっている企業を探し、買い注文をいれるか検討します。
バフェット流投資のPBR
結論から先に言いますと、ここまで様々なことを述べてきましたが、PBRはバフェット流投資では重要視されていません。
当初バフェットも、企業が収益を生むためには設備などの「資産」が必要不可欠であり、逆に設備などの「資産」があればそれなりの収益を上げることが可能と考えていました。
しかし、後にいくら設備「資産」があっても「その設備で生産した商品が売れなければ収益を得ることができず、株価も上昇しない」そして「企業が日々、上げる収益こそが株価を上昇させる」と考え、解散価値(PBR)に重きをおいていません。
現代の優良企業は「サブスク型」や「ファブレスメーカー」も多く、設備「資産」という重荷を持たない企業が多く、解散価値が高いことは、必ずしもプラス評価にはなりません。
また、解散価値はあくまでも帳簿上の金額であり、実際にその価格で売却できるとは限らず、不良在庫も帳簿上では資産であり、生産が落ち込んで閉鎖した工場も資産です。なので、バフェット流投資ではPBRは重要視されていません。
しかし、PBRは四季報に記載されており、底値の基準としても使えるので、必要に応じて評価し判断するのがいいでしょう!